宮川路子の水素栄養療法

主治医が教えてくれない水素・栄養療法の話   うつ、がん、アンチエイジング

がんに対する糖質制限と運動療法 血流促進

がんの治療の大前提  まずは標準治療を受ける

がんの治療は標準治療(手術、化学療法、放射線治療)が基本となります。現在、抗がん剤に対する偏見によって、効果のある治療を放棄してしまう患者さんが多いのが問題となっています。

抗がん剤は効かない
抗がん剤は副作用が苦しいから辛い思いをするだけだ
などと思い込んでいる方が抗がん剤治療を拒否してしまうのです。
これは大きな誤りです。

もちろん、抗がん剤が効くがんと効かないがんがあるのは事実です。
また、がんの種類によって抗がん剤の種類も異なります。副作用も様々です。
現在、抗がん剤の副作用にはいろいろな方法で対応がなされ、苦しいながらも頑張って、元気を取り戻せるものが多くなっています。
中には、劇的な効果が得られる抗がん剤も出て来ています。

放射線治療は副作用が強くて大変だから受けたくない
という人も多いようです。
たしかに皮膚炎がひどくなってやけどのようになり、後からひきってしまったり、口内炎、潰瘍などの消化管障害、骨髄抑制、脱毛などさまざまな副作用が出ます。
けれども放射線治療はとても良く効く場合が多いのです。

抗がん剤、放射線ともに手術との組み合わせで、治療効果を万全のものにするために行うこともあります。

放射線の副作用については、ビタミンCや水素による治療でとても軽く抑えることが可能と思われます。ただし、これらの治療は現段階では保険ではカバーされませんので、自費診療となってしまいます。

実は私は今その研究をカロリンスカ研究所で行っているところです。よいご報告ができるようにがんばっています。

これらの治療を保険ですべての人が受けられるようになることが私の願いです。

「標準治療では、もうできる治療がありません」
と主治医から言われた場合は別ですが、標準治療で”打つ手”があるときにはまずそちらを優先させてください。

一番大きい過ちは、標準医療を拒否して、初めからいわゆる民間療法に頼るということです。

インターネットで検索をすると、いかにも効果がありそうな宣伝文句を並べているクリニックがたくさんあります。まったく副作用がなく、効果が高いというイメージを持ってしまいそうになりますが、こういったクリニックで高価な治療だけを受けても治るという保証はありません。もちろん、効果がないわけではないと考えますが、そのような治療を取り入れるにしても、標準治療を受けるということが前提であると考えます。

有名な方の例では、川島なお美さん、小林麻央さんはお二人とも推奨される標準治療といわれるものをすぐに受けず後回しにして民間療法を試していた結果、手遅れとなってしまったようです。

いろいろな事情があったのだとは思いますが、もしお二人が普通の人で、民間療法などを受ける余裕がなかったとするならば、もう少し予後が変わっていたのではないかと思うととても残念な気持ちです。

現在、日本の医療制度ではとてもレベルの高い標準治療を誰もが平等に受けることが可能となっています。そして、世界でも水準の高いその治療によって、がんはもはや必ず亡くなるという病気ではなくなっているのです。その事実から眼をそむけ、素晴らしい標準医療を受ける権利を放棄して、民間療法を選択するということは考えられません。

まずは標準治療を受けることを第一選択としてください。

がん治療に糖質制限は必須

がんの予防はもちろんのこと、がん治療の際に糖質を制限することは絶対にはずせません。
標準治療を受けながらでも追加できる治療、追加するべき治療が糖質制限なのです。これは、どんな種類のがんであっても、どのような状態の人であってもがんをやっつけるためには必ず行うべきです。標準治療の邪魔をすることもありません。

しかも、糖質制限には費用があまりかかりません。もちろん、食費が少しかかりますが、人が食べる量は決まっていますから、民間療法のような法外な値段がかかることはないのです。

また、糖質制限は副作用がありません。糖質を制限するだけですから、他の栄養素でしっかりと栄養を補えば大丈夫です。タンパク質、脂質をしっかり摂ってください。

糖分はエネルギー源として必須である、という考えの方も多いのですが、そんなことは決してありません。糖がなければ私たちの身体はタンパク質や脂質をエネルギーに変えることができるのです。

ただし、極端に徹底し過ぎると便秘になってしまう可能性があります。徹底した糖質制限の欠点は食物繊維不足になることです。根野菜も摂らず、肉ばかり食べているというのは良くない影響も出ます。

私は主食なら玄米、全粒粉のパンを少しだけ食べる、そして根野菜もある程度良いとしています。そのかわりに、後からご紹介する運動を追加するのです。

糖質制限はなぜがんに効くのか

糖質制限はがんに効くと言われています。
なぜなら、がん細胞は糖質をえさとして生きているからです。がん細胞は、正常細胞の何倍もの量のブドウ糖を取り込みます。

糖質がたくさん血液中にある状態(血糖値が高い状態)になるとがんは勢いを増して増殖します。ですからがんにえさを与えないように血糖値を上げないような食事を摂ることが大切なのです。このことを理解していただくために私はいつも2つの例で説明をしています。それは、高カロリー輸液を始めたがん患者さんの例と、PET検査についてです。

高カロリー輸液を開始した末期がん患者

がんの治療に携わっている医師であれば、昔は誰でも経験していたことです。
がんで食べられなくなった患者さんはどんどんやせ衰えていきます。入院していると、家族は心配して医師に

「こんなに体重が落ちて、体力もなくなって心配です。なんとかなりませんか?」

と聞きます。

今ではもう末期の患者さんにこのような処置をすることはほとんどありませんが、昔は
「じゃあ、ちょっと栄養のある点滴をしましょうか」
と、高カロリー輸液の点滴を始めることがありました。

すると、何が起きるかおわかりでしょうか?

栄養がたくさん入って、患者さんは元気になるのでしょうか?

答えはもうおわかりですね。

患者さんは決して元気にはなりません。なぜなら、身体の中に巣食っているがん細胞が、天から降って来た恵みの雨のように、点滴の栄養を取り込んで勢いを増して増殖してしまうからです。

点滴をする前は、栄養がありませんから、患者さんも痩せてしまったかもしれませんが、がん細胞も勢いが弱っていたはずなのです。
ひよひよと生きながらえ、平衡状態を保ちながら共存している状態だったがん細胞が一気に元気になると、患者さんはあっという間に状態が悪化してしまうのです。

もちろん、これは糖質が入っている場合であり、脂質のみの点滴であれば、がん細胞がこれを利用することが出来ませんから大丈夫です。

糖質はがん細胞にエネルギーを与えて元気にします。入院して点滴を受ける際には、糖質の入っていない点滴をお願いするようにしましょう。

ご飯が食べられるのであれば糖質の点滴は必要ありませんし、
もし絶食となっている場合、栄養についてはイントラリポスなど、脂質の点滴を追加して頂けるように話してみてください。

PET検査の仕組みとがん

PET検査(positron emission tomography,陽電子放出断層撮影)は、がんが糖質を好む性質を利用して体内のがんを発見するための検査です。

放射性物質で印をつけた糖に近い成分の薬を注射すると、がんがそれをブドウ糖だと間違えてたくさん取り込むことにより、がんがある場所がわかるというものです。検査の前には絶食が必要です。糖が十分に与えられているとがんが検査薬を取り込まないためです。

また、運動をすると筋肉にブドウ糖が多く取り込まれるので、検査薬も筋肉に集積してしまいます。ですから検査中はもちろん安静にしますし、検査前日も運動しないようにしなければいけません。

PET検査について学ぶと、がんの治療において何をしたらよいかがよくわかります。

まず第一は糖質制限です。できるだけ糖質を食べない、ということです。
エネルギーは糖質、脂質、タンパク質から得ることができますから、糖質をまったくとらなくても大丈夫なのです。
しかも、エネルギー効率から言えば、脂質、タンパク質の方がより多くのエネルギー(ATP)を作り出すことができます。詳しくはこちらをご参照ください。

糖質をエネルギーに変えるときに必要となるのが、ビタミンB1です。糖質の代謝に関わるピルビン酸脱水素酵素の活性をビタミンB1がコントロールしていますので、糖質を食べるとビタミンB1が減るのです。
ビタミンB1は抗がん作用がありますから、これが減ると、がんにとっては好都合になります。このことも、糖質制限をしなければいけない理由の一つです。ビタミンB1の抗がん作用については、こちらをご覧下さい。

また、糖尿病の治療についての記事でご紹介しましたが、糖質を摂ったときに分泌されるインスリンは細胞に障害を与えます。
インスリンには発がん作用、さらにがんを増殖させる作用があるのです。

がんの治療においては、インスリンを出さないように、糖質制限をして、血糖値をできるだけ上げないことが重要となります。

とはいっても、糖質をゼロにする食事というのはとても難しいものです。甘いお菓子は我慢できたとしても、ご飯、パン、麺類などを一切食べないというのは大変です。

そこで、摂ってしまった糖質に対して何をするかといえば、運動です。

PET検査のところでお話ししましたが、筋肉を動かすとそこに糖が取り込まれて使われます。
運動がとても効果的であるということです。
運動によって筋肉を動かし、血糖をたくさん吸収してもらえば血糖値が下がり、がん細胞にブドウ糖をあげないようにすることができるわけです。がんの予防にはもちろん効果がありますし、がんと闘うときにも運動をぜひ心かけてください。闘病中で体力がないのに、運動なんてとても無理!と思われるかもしれませんが、いろいろと工夫をすることができます。

がん患者さんにお勧めの効果的な運動

ペットボトル運動

もう歩くこともできない、という方もいらっしゃいますが、そのような方でも運動はできます。ベッドから動けない方には、ペットボトルでダンベルを作ります。500ミリリットルのペットボトルが良いでしょう。中に水または砂を入れますが、満杯にしてしまうと重すぎるかもしれません。入れる水の量で重さを調節して無理のないようにしてください。これを両手に持ち(もしかしたら点滴が入っているかもしれませんね。そういう場合には片手でも大丈夫です)、上にあげたり下げたり、手を横に倒して、起こしたり、という運動をします。「筋肉をたくさん動かしてブドウ糖を使うぞ!」という気持ちで運動してください。

おしゃべりも笑いも運動

PET検査の待ち時間のときに、おしゃべりしていたところ頬、舌の部分に異常集積が起きた人の経験談を聞きました。おしゃべりをしてよく舌を動かし、大笑いをしてほっぺたが動いたために、舌と頬の部分の筋肉でブドウ糖がたくさん消費され、集積が起きたというわけです。

少し話が脱線しますが、どれくらい運動するか、ということは脳において、その部位の運動をどこで支配しているかという地図(運動野における倒立こびと)をみることによって判断できます。
運動を司っている運動野に占める舌の割合はものすごく大きいのです。他にも親指や唇、眼なども広い場所を占めています。たくさん、細やかな動きをする部位は脳もたくさん使っているということになります。

このことから考えると、たとえベッドの上で動けない場合であっても、楽しくおしゃべりをしてワハワハと笑えば”筋肉運動”ができるということになります。笑うことはそれだけで免疫力アップにつながることがわかっていますし、楽しいおしゃべりはストレス解消にもってこいです。一石何鳥にもなりそうです。

是非、たくさんおしゃべりして、大笑いしてください。おしゃべりする相手の人がいなければ、お笑いのyou tubeでも観て、常に笑っていてください。

勉強をする、読書をする

勉強をするととてもお腹がすきます。脳は身体の中でエネルギーを使う割合が多い臓器です

こちらの表をご覧ください。各臓器が安静時にどのくらいのエネルギーを消費するかというデータです。

ヒトの臓器・組織における安静時代謝量

器・組織 重量エネルギー代謝量エネルギー代謝量比率
(Kg)(kcal/kg/日) (kcal/日)(%)
全身70.0
241700100
骨格筋 28.01337022
脂肪組織 15.04.5704
肝臓 1.820036021

1.424034020
心臓 0.34401459
腎臓
0.34401378
その他23.21227716
厚生労働省 e-ヘルスネットより
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-02-004.html

脳は身体の20%のエネルギーを消費します。重量1Kg当たりでは、心臓、腎臓の次に多くのエネルギーを使うのです。たくさん動かせば動かすほど、エネルギー消費量は上がります。しかも脳はブドウ糖を優先的に使用しますので、血糖値を効果的に下げることができます。

勉強をするとまったく身体は動いていなくてもお腹が空くのはこのためです。
勉強でなくても、本を読んだり、考えごとをしたり、いろいろなものを見て感動したりするとエネルギーを消費します。

高齢者の方が入院すると、認知症になってしまう危険性が高いのですが、それを防止するために、病室でドリルをがんばって解いている方が増えています。
任天堂のDSには脳を鍛えるいろいろなゲームソフトがありますが、それをやっている方もみかけます。
私の父は入院中には毎回原稿を書いていました。
何か熱中できることがあるというのは素晴らしいと思います。

ただぼーっとしているのをやめて、積極的に脳の刺激を与えましょう。脳が活発に動いていれば糖質制限をより効果的に行うことができるようになります。

糖質制限の食事について

糖質制限ですから、もちろん、主食はいっさい食べないというのがベストなのですが、そうすると食欲がわかなくてものが楽しめない、という方が多いようです。

食べるならばご飯は玄米、パンやパスタは全粒粉のものにしてください。
簡単に言うと、茶色い色がついているものです。
これらは糖質ではありますが、血糖値が上がるのが緩やかであるため、白い、精製されたものと比較するとインスリンの急激な分泌を抑えることができるのです。

また、糖質は厳密にいうと、根菜類、豆類などにも含まれていますから、これを除いてしまうと、食物繊維も減ってしまうことになります。食物繊維も血糖値の上昇を抑えます。
健康に良い食事にはある程度糖質が含まれてしまっているのです。こちらもプラスの面を重視して、根菜類、豆類などは大量にでなければ摂ってもよいと考えています。

かぼちゃやにんじん、じゃがいも、さつまいも、豆、ごぼうなど、季節の野菜を彩り豊かに食べましょう。ただ、あまりにも糖度の高いフルーツトマトやにんじんなどは避ける方がよいと思います。

そして、多くは食べられないという方にはタンパク質の補充にプロテインパウダーを利用することをお勧めします。
ヨーグルト(甘味の入っていないもの)に混ぜたりすると良いでしょう。

さらに、ビタミン類はサプリメントでの補充が必須となります。
抗がん作用があると言われているビタミンA,B,C,D,Eなどを摂りましょう。

フルーツは食べても良いかどうかというお問い合わせがよくあります。
私の考えとしては、甘いフルーツは避けた方が良いと思います。
フルーツには糖質がびっくりするほど含まれています。

食べて、甘くて美味しいと感じるフルーツは良くありません。
ただし、フルーツにはがんを予防する効果もありますから、まったく食べないのではなく、酸っぱいものを選んで食べて下さい。

顔をしかめるように酸っぱいみかん、はっさく、キウイなどが良いでしょう。柑橘類ががんを予防するということはよく知られています。

甘くなければ食べたくない、とおっしゃるかもしれませんが、がんばって食べましょう!

父の耳下腺がんと糖質制限  やり過ぎで腸閉塞に

私の父は2回のがんを経験しています。
はじめのがんの時の話は私が医師となるきっかけとなりました。その話はこちらに書いています。そのときも糖質制限を実施していました。

そして、2回目のがんは2017年のお正月に見つかりました。父が85歳のときでした。

丁度その直前、2016年12月に私は栄養療法実践のためのクリニックを開いたばかりでした。あまりのタイミングに私は、父の治療のためにクリニックを開いたような気がしたものです。

そして、主治医探しから、手術、引き続いての放射線治療に加え、出来る限りの治療を父にしようと考えました。

入院までには毎日ビタミンCの点滴を行いました。食事ももちろん、糖質制限食にしました。

父は基本的に食べることが大好きなので、お酒も食事も甘い物もなんでもござれです。
前のがんから30年以上が経過して、すっかり気が緩み、食事も何でも食べたい放題となっていたのです。お酒は糖質制限では焼酎、ウイスキー、にがめの赤ワインだけでないといけないのですが、日本酒、白ワインたくさん飲んでいました。

「もう平均寿命も超えている歳なんだから、食べたい物を食べ、飲みたいものを飲んで死ねたら本望だ」
などと言っていましたが、いざがんになると、歳であっても頭はしっかりしているわけですから、まだまだ生きたい、という気持ちになるはずです。

がんをやっつけるためには、とにかく「出来ることはすべてやる努力をしなければ」と家族皆で気合いを入れました。

入院中は主治医にお願いして、少しでも良いので、ビタミンB、ビタミンCを点滴に入れて頂きました。もちろん、点滴は糖質の無いものにして頂きました。

ビタミン剤は飲み薬でも病室に持ち込みました。もちろん、先生のチェックを受けています。飲んだものは毎日その量をすべて報告するようにと言われていました。

さらに、入院食は糖質を少なく、ということで糖尿病食にして頂きました。

先生の許可を得て、水素の吸入も病室で行っていました。

私たちの様々な勝手なお願いを聞き入れて下さった主治医には本当に感謝しています。

糖尿病食でも少しはごはんが出ます。デザートに甘いヨーグルトやようかんのようなものまで出ていました。これらはすべて食べないようにしてもらい、その代わりにゆで卵、肉、魚、チーズ、豆腐、ヨーグルト(無糖)などをせっせと運びました。
病院がある駅のショッピングモールにはかなり充実したスーパーがあって、やきとりや、豆腐と野菜の煮物など、いろいろと重宝しました。ちょうど節分の日には、ご飯が入っていない恵方巻きのようなものが売られていて、買って持って行ったのも思い出となっています。

退院後も糖質制限に精を出しました。

ところが、順調に回復していたかのように見えた父が急に具合が悪くなってしまったのです。手術から半年以上経った10月のことでした。
それまでも便秘がちだったのですが、お腹が張って痛みが我慢できなくなり、どうしようもなくなって病院を受診したところ、腸閉塞との診断でした。父はとても我慢強いので、痛い、ということを家族に伝えずに何日も一人で苦しんでいたのでした。。。我慢のし過ぎも困ります。

そこから内科的治療を経て、手術を受けることになり、11月末に退院するまでに1ヶ月以上かかりました。がんの時にかなり体重が落ちていたのが順調に戻りつつあったのですが、腸閉塞でまたさらにやせて、未だかつてみたことがないほどの体重(55キロ)まで落ち込みました。父は身長が175センチありますので、骨と皮のような状態になってしまいました。

一度用事があって外出したのですが、その時に会った誰もが父のことをみて、
「きっとがんが再発したに違いない。あんなにやせこけていてはもう長くはないだろう」
と感じたはずです。私は外出に付き添いましたが、今その写真をみると、父はまるでおばけのようです。

腸閉塞の原因は、腎臓がんの手術の後が腹壁に癒着したということでしたが、過激な糖質制限がきっかけになってしまったのは間違いないと思います。
便秘がちの父に、肉類中心の食事でごはんや根野菜も禁止としたうえに、プロテインパウダーをせっせと飲んでもらったのです。
プロテインパウダーは健康な人が飲んでも便秘になることがあるのです(逆に下痢になる人もいますが)。

糖質制限も人により加減をしなければいけないと深く反省した次第です。ただし、どうしても身内となると厳しく、徹底的にやらなければという気持ちになってしまうものです。。。

ところが、これはもしかしたらがんの治療のためにはとても効果的だったのではないかと後から感じました。

もちろん、生命の危機もあったわけで、そこから回復できたのは運が良かったということにつきますが、糖質制限をして、がんを兵糧攻めにしたという見方をすれば、これ以上の素晴らしい状況はなかったと言えるでしょう。

入院後長期間絶食となって、おばけのようにガリガリにやせ衰えていましたが、栄養摂取は脂質の点滴で対応してもらいました。

糖質制限で頭頸部腫瘍の死亡率が下がる 堀ちえみさんの舌がん・食道がんも。。。

糖質制限とがんとの関係をサーチしていて、最近の論文を見つけました。
頭頸部腫瘍と炭水化物の摂取についての研究で、「まさにこれだ!」という論文でしたのでご紹介したいと思います。

炭水化物の高用量摂取は頭頸部腫瘍における全原因死亡リスクおよび疾患による死亡リスクを上昇させる 前向きコホート研究結果より(1)

新しく頭頸部腫瘍と診断を受けた患者に治療前、治療後の炭水化物の摂取と再発、死亡原因について調査を行いました。
調査期間中に70人が死亡し、72人が再発しました。治療前の食事に関する分析では、総炭水化物の高摂取量の群は低摂取量の群に比べて2.29倍、総糖摂取量は3.03倍、グリセミックロードは2.1倍、炭水化物は2.26倍、全死因による死亡のリスクを増加させていました。
また、頭頸部腫瘍関連の死亡のリスクは高炭水化物摂取で2.45倍、総糖摂取量は3.03倍増加していました。
治療後の分析では、脂肪の中等度摂取が再発リスクの減少と全死因による死亡率の減少に関連していました。

つまり、糖質の摂取が頭頸部腫瘍の予後を悪化させるということになります。脂質の摂取はリスクを減少させます。

頭頸部腫瘍に限らず、すべてのがんで同様の効果があると思われますが、悪性度の高い頭頸部腫瘍ではより糖質制限が必要になると思います。

堀ちえみさんのスウィーツ

最近、堀ちえみさんが舌がんで治療を受けたというニュースがありました。
彼女のブログで、入院中、先生と栄養士さんに、
「甘い物を食べても良いでしょうか?」
と質問したところ、
「糖質摂取については、しっかりとしたデータが無い」
「痩せて抵抗力が落ちるよりは体重をキープする為に
食べられる物をどんどん食べて下さいね」
と言われたそうです。

これを読んで、びっくりしてしまいました。
エビデンスはちゃんとあります。
知識の無い人が適当なアドバイスをしてしまっては大変なことになります。
堀さんは、大好きなあんみつを食べたと書いていました。
それからも、アイスやプリンなど、スウィーツをたくさん召し上がっているようです。

とても心配です。。。

追記(2019年4月15日)
昨日、さらに食道がんがみつかったというニュースが流れました。
まだお若くて、”多重がん”ということは、堀ちえみさんは、”がんになりやすい体質”なのだと思います。

糖質は完全に断たなければいけない状況であることは間違いないでしょう。

私のお勧めの運動の機械その1 高齢者の方にも
パワープレートのご紹介

どうしても糖質をとってしまったときなどに、運動をすればそれを帳消しにすることもできます。
とはいっても、ただ歩くだけではほとんどカロリーは消費しませんので運動とは言えません。効率よくエネルギーを消費してがんに打ち勝つためには筋肉を鍛えて基礎代謝を上げること、そして運動の方法にも工夫が必要です。
パワープレートは整形外科のリハビリ、スポーツクラブなどで取り入れられている機械です。
3Dの方向に振動が発生してインナーマッスルを鍛えることができるため、効果的な運動が期待できます。
しかも乗っているだけでよいというものです。

もちろん、様々な負荷をかけながら乗ると負荷がかかっている筋肉がより鍛えられますが、体力のない方であれば、ただ座る、立つ、というところから始めることもできます。インナーマッスルを鍛えることで、老眼が改善したという報告もあります。

私は脳梗塞で足が弱った父(2回のがんのほかに、脳梗塞も患っています)にこれをプレゼントしました。

他にも室内で運動することができるという様々な機械について調査しましたが、パワープレート以上のものを見つけることは出来ませんでした。
パワープレートについては研究もたくさんあり、科学的根拠がしっかりしていると確信したのです。

NASAも宇宙飛行士の筋力回復のトレーニングのために導入していますし、プロ野球の球団、Jリーグのサッカーチームなども使っています。

さらに素晴らしいのは脊髄損傷で歩けなくなってしまった人、このような人は足の筋肉がやせ衰えてしまうのですが、そのトレーニングに使い、歩くことができるようになった例まであります。以前はとても高い機種しかありませんでしたが、現在は以前よりも安価(といっても30万円ですが。。。)に手に入るようになっていますので、ぜひおすすめしたいと思います。ご興味がある方は、お問い合わせ欄よりご連絡ください。

私の父は87歳で足が弱って最近、杖をついて歩くようになりました。出かけていくときにはいつも転ばないように、後ろ姿を見ながら願うような気持ちでいます。
高齢者の方は、外に散歩に出かけるとそれだけで危険を伴うことがあります。
ジムに毎日通ってプールで泳いでいた高齢者が、プールで滑って転び、頭をうって怪我をしたとか、1日1万歩を目指している方が転んで骨折したという話も聞きます。
すると入院、手術が必要となりそれをきっかけに認知症になったり、寝たきりになったりしてしまうのです。
家の中で安全に効率よく運動できること、しかも天気に関係なく継続できることは安全で重要です。
インナーマッスルを鍛えると基礎代謝が増えます。高齢者がインナーマッスルをふつうに鍛えるのはとても大変ですが、パワープレートを使えば効率よく筋肉を増やすことができるのです。

パワープレートの別の利用方法
パワープレートで血管力を鍛えましょう!

血管を鍛えることが健康の基本であることはすでにご紹介しました。こちらです。
血管を効率よく鍛えるための方法として、パワープレートを使う方法があります。

パワープレートに両手を乗せて、腕立て伏せが出来れば腕立て伏せ、できなければただ、腕に体重をかけてじっとこらえて振動させるのである。
これだけでも腕の血流が上がり、振動によって筋肉、血管が鍛えられます。

血管を鍛えておくことは、点滴を受けるためには必須です。がんの闘病の際、抗がん剤の点滴や、高濃度ビタミンC点滴を受けることがありますが、腕の血管が太くしっかりしていないと、何か所も刺されたり、途中で薬液が漏れてしまったりして大変です。日頃から手の運動でしっかりとした血管を作り上げておきましょう。

私のお勧めの運動の機械 その2 血流・リンパ促進 がん手術後の方にも B’flow (ビー・フロー) のご紹介

B’flow (ビー・フロー)、 旧機種名:コスモスウェーブとの出会いはずいぶん前のことになります。
参加していた学会で、

「疲れがとれます、足のむくみがとれます」

というのぼりがたっていて、体験できるようなコーナーに椅子がたくさんんならんでいました。
学会に協賛している会社の商品が並んでいる会場にこのマッサージ機のブースが出ていたのです。歩き疲れていた私はおもわず引き寄せられてしまいました。

「5分間座ってもらったら、靴がぶかぶかになりますよ」
と言われて本当かしら?と思いながら座りました。

「ついでに温めましょうか?とても気持ちがいいですよ」
「循環も良くなりますから」
といわれ座って足を乗せていると、本当に足元がぽかぽかと気持ちよく、疲れが一気にとれるような気がしました。

ぶつぶつとした突起が足の裏を刺激し、もみ玉が土踏まずの部分をぐいぐい押して何とも言えない気持ちよさです。

私はいろいろなところで「足もみマッサージ」を受けていますが、担当の人によって痛過ぎたり、「そこをもう少しやってもらいたい」、というところが不十分だったりしてなかなか満足することができないでいました。

しかも、日本では足もみマッサージはお値段も高いですし、お店まで出かけて行かなければいけないので、日々の健康法としては無理があります。

このマッサージ機であれば、強さや振動速度なども自分でコントロールすることができます。
そして、温風が出て来るので、膝かけで足を覆っておくと、ぽかぽかになります。冷え性だった私にはもうぴったりだと思いました。
こんなマッサージ機が自宅にあれば。。。と心惹かれてしまいました。

そして、5分後に立ち上がってパンプスをはいてみると、びっくり仰天!

学会会場を長く歩いた後できつくなっていたパンプスでしたが、すき間ができてゆるゆるになっているのです。
まさにリンパ、血流が改善してむくみがとれたのに違いありません。

5分で5キロの素足歩行に匹敵するという血行促進効果なのだそうです。
脚は第2の心臓と言われています。
このマッサージ機の特徴である新血行促進健康法とは、足の血流がスムーズに流れるように足の裏、ふくらはぎが振動でもみほぐされるるというものです。
高速波動血行促進法というのだと説明を受けました。

足は血流が滞りやすい部分です。特に、立ち仕事が多い方などは日々足のむくみに悩まされていることでしょう。
血流が悪いと、血栓ができて脳梗塞などの危険性も上がります。
座って足を乗せるだけですから、高齢者の方にもぴったりです。

私は両親にもこれをプレゼントしました。
父が入院したときにはこれを病室に持ち込み、ベッドに腰掛けて毎日足を乗せてもらいました。
先生や看護師さんたちが「それ、何ですか?」と、興味津々だったようです。父が説明をすると、ちょっとやらせてください!という看護師さんもいました。
「これ、欲しいです!」という人も。
実際、忙しく走り回っている看護師さんにはぴったりだと思います。

腰や太もも、お腹、腕などにあててマッサージをすることもできますし、いろいろな活用法があります。
とても良いということで、しばらくしてから、義理の両親にも贈りました。

実は、私はこちらの機械を購入する前に家電量販店に行って、十数種類の足のマッサージ機を約3時間かけてすべて試しました。
血流促進効果としては、これが抜群だという結論になって、納得して購入することになりました。

がんの手術でリンパ節を取ってしまった場合、リンパが滞ってむくみが出ることが多いのですが、そのような方にもぴったりだと思います。

B’flow (ビー・フロー) MD-5301 旧機種名:コスモスウェーブ

いろいろと試した中で、もしもう少し簡単な携帯式のものを旅先などに持って行きたい場合には、

パナソニック エアーマッサージャー レッグリフレ

が良いと思いました。こちらは海外の人に頼まれて購入し、送ったことがあります。
最近、太ももまでのものも発売されています。

こちらを試した感想ですが、医療用のものよりも遥かに付け心地がよく、性能も良いと思いました。
医療用の機械は、私が帝王切開の術後に一日装着されたのですが、夜中にずれてしまって、しゅぽしゅぽ言っているのですが、まったく締め付けられず、ただの睡眠妨害にしかなりませんでした。もちろん、装着の仕方が悪かったのかもしれませんが。。。
エアーマッサージャーは自分でしっかりと装着できますし、強さの調節もできるためかなり気持ちが良いです。リラックスしながらごろりと横になった状態でも大丈夫です。ただし、締め付けたり緩めたりして血流を促進するものですから、やはりB’flowには劣ります。
こちらは足先がオープンになっているため、足の大きさの制約がないのも良いポイントだと思いました。

パナソニック エアーマッサージャー レッグリフレ 温感機能搭載 ルージュピンク

私のおすすめの器械その3 シックスパッド フットフィット(SIXPAD Foot Fit)

足を載せているだけで、膝下、足の筋肉が鍛えられるすごい器械です。レベルを強くしていくと、足先が自動的に跳ね上がるような動きをします。ふくらはぎの筋肉もびりびりとして収縮します。仕事をしながらでもウォーキングをしているかのようで、トレーニングをすることができます。電池式ですから、簡単にどこへでも持ち運べて便利で使いやすいです。
外に散歩に出られない高齢者の方にもぴったりだと思います。シックスパットはお腹、腕、太もも用なども良いのですが、こちらのフットフィット以外は全てジェルシートが消耗品として必要になります。

シックスパッド フットフィット(SIXPAD Foot Fit)

以下のように、シックスパッドには注意事項があります。ご高齢の三浦雄一郎さんもお使いで、座って足を載せているだけですので、よほど弱っている方以外は問題ないかと考えていますが、ソファの傍に置いていて、立ち上がった時につまずいてしまうなども考えられますのでご使用に当たっては十分に注意なさってください。

私のブログは今何位でしょう?

参考文献

(1) Arthur AE et al. Higher carbohydrate intake is associated with increased risk of all-cause and disease-specific mortality in head and neck cancer patients: results from a prospective cohort study. Int J Cancer 2018 Sep 1;143(5):1105-1113. doi: 10.1002/ijc.31413. Epub 2018 Apr 17.