- 投稿日
- 2020年3月29日
- 更新日
玄米の健康効果 発酵玄米 免疫力アップ がん 糖尿病 肥満 認知症予防
日本食の宝、玄米と発酵食品
日本食は身体に良いと言われています。その中でもとりわけ発酵食品は、古くから健康に良いことが知られており、今日でも多くの発酵食品が食生活に取り入れられています。味噌、醤油、納豆、ぬか漬け、かつお節などが代表的な発酵食品です。発酵食品は原料や、発酵過程の違いによって成分や機能が変化することがわかっています。つまり、食材を発酵させることで、より多くの健康効果が期待されるのです。
また、玄米はオーソモレキュラー医学の観点からも重要である各種ミネラルやビタミンB群、食物繊維といった栄養素を豊富に含んでいます。加えて玄米は食後血糖値の上昇を抑えることから肥満や糖尿病の予防作用など、白米と比べた際の栄養価の高さが注目されてきました。
そして近年、この玄米を発酵させることで各種酵素が生じ、アミノ酸やビタミンB群が増加すること、さらに発がん予防作用を有することが基礎研究によって明らかになってきました。「医食同源」という考えによれば、私たちの体を作る栄養素によって健康が左右されるのは当然のことです。
日本古来の健康食品である玄米と発酵の組み合わせこそ、日本人が誇る長寿の大きな理由の一つと考えられており、今後の健康面への活用が期待されています。
玄米に含まれている栄養素
本題に入る前に、まず玄米の定義についておさらいしましょう。玄米は表皮、胚芽がついたままのお米です。この表皮、胚芽に多くの栄養素が含まれているのです。玄米に含まれる主な栄養素は、ビタミンB群、γ‐オリザノール、フェルラ酸、フィチン酸、γ‐アミノ酪酸(GABA)、各種ミネラル、食物繊維などです。
玄米に含まれるそれぞれの栄養素について簡単にご紹介します。
ビタミンB1(チアミン)
ビタミンB1が不足すると脚気になることは有名です。糖質をエネルギーに変換する時に必要なビタミンです。神経障害改善作用、鎮痛作用、胃腸管運動促進作用などを持っています。
ビタミンB2(リボフラビン)
ビタミンB2は、糖質、アミノ酸、脂質の代謝、そしてエネルギー産生に関与する酸化還元酵素の補酵素です。発育促進の役割を果たすほか、皮膚、髪、爪の細胞の再生にも関わっています。
ビタミンB3(ナイアシン)
ナイアシンはペラグラの特効薬としても有名です。エネルギー産生やアミノ酸、糖質、脂質代謝に関わる活性型補酵素として働きます。特に、エネルギー産生は非常に重要で、コエンザイムQ10とともにミトコンドリアのエネルギー産生能を高めます。また、循環を促進し血圧を安定させ、LDLを低下させます。結果として、脂質異常症の改善や動脈硬化の予防につながります。さらに解毒作用、抗酸化作用、抗アレルギー作用を有することも知られています。
そのほかにも以下の作用が期待されています。
・大腸がんの予防(大腸の炎症を抑制する)
・睡眠改善
・うつ病の治療
・統合失調症の治療
・アルツハイマー病の予防
パントテン酸(ビタミンB5)
パントテン酸は、エネルギー産生の補酵素の成分です。クエン酸回路、脂肪酸のβ酸化の代謝系において重要な役割を果たしています。また、多くの酵素反応に関与しているほか、HDLを増やし、ホルモン・抗体の産生にも関わっています。
ビタミンB6
ビタミンB6は、多くのアミノ酸代謝の補酵素として重要な役割を果たします。赤血球中のヘモグロビン、神経伝達物質の合成に関わっています。皮膚の抵抗力を高め、免疫機能の維持作用および脂質代謝に関与してコレステロールを低下させることが知られています。
ビオチン
ビオチンは糖代謝、脂肪酸代謝、アミノ酸代謝の補酵素としてエネルギー産生に関与しています。また皮膚、粘膜、髪の毛や爪の健康にも深く関わっている栄養素です。
γ-オリザノール・フェルラ酸
γ-オリザノールは古くから医薬品として、下記の治療に用いられてきた安全な化合物です。
・心身症におけるうつ・不安・緊張の抑制
・コレステロールの吸収阻害
・排泄促進による脂質異常症の治療
γ-オリザノールはポリフェノールの一種であり、酸化防止作用、紫外線吸収作用を持ちます。そのため化粧品の材料として、また、食品添加物としては「酸化防止剤」として用いられています。さらに、脳内神経伝達物質のエンドルフィン、成長ホルモンを増加させ、筋疲労を防ぎ、運動能力を高めるとも言われています。
脳内では、海馬のインスリン様増殖因子Ⅰ(IGF-Ⅰ)を増加させ、血管新生、神経再生を促します。海馬の機能を高めるため、アルツハイマー病の予防や改善にも効果があると報告されています。また、炎症を抑制してアディポネクチン(善玉物質の一つ)の分泌を増やし、メタボリックシンドロームを改善する効果も持っています。IgEを捕捉し、アトピー性皮膚炎、喘息、花粉症などのⅠ型アレルギーを予防することも示唆されています。
フェルラ酸は、γ-オリザノールを加水分解することで得られます。植物の細胞壁の構成成分であるリグニンの中間体であり、pH調整剤(食品添加物の一つ)としても用いられます。
フィチン酸
フィチン酸は金属のキレート作用を持っており、金属を排泄する作用があります。また、抗酸化作用、老化防止作用、抗がん作用もあるとされています。果汁、色素の変色防止やビタミンCの安定化に効果があるため、食品添加物として飲料、お菓子などに使用されます。一方、化粧品の原料としても利用されています。
γ-アミノ酪酸(GABA)
GABAはタンパク質を構成しないアミノ酸です。Gamma-Amino Butyric Acidの頭文字を取ったもので、日本においても「ギャバ」として知られています。ヒトにおいては、抑制系の神経伝達物質として機能しており、降圧作用、脳機能改善作用などが認められています。GABA は交感神経を抑えるとともに、ノルアドレナリンの分泌抑制により血管収縮を抑え血圧を低下させると考えられています。
発酵玄米のサプリメント がん、肥満、糖尿病 認知症予防
最後に、発酵玄米のサプリメント「FBRA(フブラ)」をご紹介したいと思います。FBRAは、国産の健康食品です。数ある健康食品の中で、唯一私が患者さんにお勧めしているものです。もちろん、私も家族も毎日食べています。
玄米発酵食品であるフブラ(FBRA:Fermented Brown rice and Rice bran with Aspergillus oryzae)は、アスペルギルス・オリザ菌を用い玄米を発酵させて作った食品です。驚くべきことに、この「FBRA」には栄養素が40種類以上含まれています。発酵過程を経て、多くの栄養素において玄米よりも数倍から数十倍栄養価が高くなることも知られています。
FBRAを用いてマウスの実験を行った研究では、大腸、肝臓、すい臓、食道、胃、膀胱、口腔、肺、前立腺などにおいて、化学物質による発がんを抑制することが報告されています。また、この発がんの抑制が炎症を抑えることによってもたらされることも明らかになってきました。まだヒトでの効果は科学的に証明されてはいないものの、副作用がなく食品としても摂取が可能であるため、健康増進作用だけでなく、発がん予防・がん治療にも用いることが可能ではないかと今後の動向が期待されています。
また、糖尿病の患者さんがFBRAを使った食改善を実行して、HbA1cの値を改善した例もあるようです。食物繊維がたくさん入っていますから、食後の血糖値の上昇を抑えることができるのは納得できます。また、肥満治療にも役立つようです。
発酵玄米ご飯、味噌、(甘酒を作るための)玄米麹をはじめ、玄米と発酵の組み合わせの食品は色々ありますが、サプリメントとして摂取できる発酵玄米は簡単に多くの栄養素を補充することができます。私にとって発酵玄米は幼い頃からとても身近にあるサプリメントでした。それは薬剤師であった叔母の勧めで、祖母がそのサプリメントを食後に忘れず服用しているのをずっと見て育ったためです。祖母は約40年、発酵玄米のサプリメントを飲み続け、その間全く病気にかかることなく98歳まで長生きしました。
私の父ががんを発症した時、母は迷わずそのサプリメントを取り寄せて父に飲ませました。もちろん、それだけが要因ではなかったと思いますが、父はがんを克服して元気になりました。また、昨年亡くなった第71代内閣総理大臣 中曽根 康弘氏も昭和57年からこのサプリメントを愛用していたそうです。
このサプリメントは玄米に麹菌を加えて発酵させて作られていますが、食物繊維が沢山含まれていて、腸内の善玉菌を増やすことも示されています。食物繊維は便通を整えるためにも大きく貢献します。また、デトックス作用を発揮しますので、食品に含まれる添加物、農薬などの化学物質や、重金属などが気になる方にはぜひ食事と一緒に飲んで頂きたいと思います。
FBRAは、腸内細菌は免疫力を高めるためにも、精神的な健康のためにも非常に重要です。
多くの利点のあるFBRAは日々の生活に欠かすことができない私の大のお気に入りです。
発酵玄米断食のすすめ
FBRAの摂り方として、私が気に入っている方法をご紹介します。
それは、FBRA5~6袋を一度に食べて、ごはんの代わりにするというものです。
朝やお昼にご飯を食べる時間が無いとき、またはコンビニ食になってしまいそうなときなどに、FBRAで済ませるのです。コンビニ弁当は栄養素はほとんどなく、身体に悪いものが多いのですから、そんなものを食べるよりもFBRAのまとめ飲みのほうがよほど健康的だと考えているからです。ビタミン、ミネラル、そして食物繊維がしっかり摂れますので、意外とお腹もふくらんで空腹感がありません。そして、1食をFBRAで置き換えると胃腸が休まって、すっきりします。その後のお食事の美味しいこと!
しかも、お財布にも優しいのです。コンビニで何か買おうと思えば500円くらいはかかるでしょう。FBRAでしたら6袋でも300円程度で済みます。
さらに、断食を定期的に行うことは、テロメアを伸ばして若返り効果があるということがわかっています。そして、最近の研究では断食は長時間行う必要はなく、1食を抜くだけの短期間の断食でも十分に健康効果があることが示されました。
丸1日、3日間、1週間の断食合宿などが行われていますが、そんな苦労をしなくても、1週間に数回、FBRA断食を行うだけで良いのです。
FBRAについては、実際に長期間の断食合宿やデトックス合宿でも用いられていますが、わざわざそのような合宿に高いお金を払って参加する必要はありません。長期間の断食は危険を伴いますので、専門家の指導の下で行わなければいけませんが、FBRAのプチ断食はいつでもご自分で行うことができます。
私はお昼ご飯にありつけない可能性を考えていつもFBRAを10袋程度カバンに入れて持ち歩いています。いざというときの非常食にもなります。
発酵玄米をご両親へのプレゼントとして
FBRAをご両親や高齢の方へのプレゼントになさる方もいらっしゃいます。
高齢者の方には食事が偏ったり、品目が少なくなって栄養不足になっているケースが多くみられます。特に、高齢者だけの世帯や独居の方などにその傾向が強くみられます。高齢になると食が細くなって多く召し上がれないということもあるでしょう。そういう方にFBRAを飲んで頂くと、栄養補給になります。しかも、サプリメントはいや!と抵抗を示す方でも、玄米のそぼろのような、いかにも素朴で身体に良さそうなFBRAであれば、抵抗なく食品として受け入れて頂けることが多いのです。がんや認知症の予防になるというのも嬉しいことです。ぜひ、大切なご両親にプレゼントなさってみてください。
お勧めのFBRA
FBRAにもいろいろな種類があります。私は最近発売になった副原料を使用していないFBRAそのものを商品にしたタイプをお勧めしています。なぜなら、これはFBRAの健康効果を研究する際に用いられた純度の高いものだからです。研究を担当した医師のたっての希望で商品化されたそうです。食物繊維やビタミンB1、B2、B6などの栄養素が多いのが特徴です。
もう1種類、私はスピルリナ入りのFBRAも最近摂り始めました。スピルリナ入りのFBRAには大豆も含まれていて、栄養分としては、ビタミンAが豊富です。
スピルリナ入りのものも組み合わせて飲んで頂くと良いかもしれません。
離乳食にはスピルリナ入りのFBRA
赤ちゃんの離乳食にスピルリナ入りのFBRAを混ぜると栄養価も上がり、食物繊維もしっかり摂れて安心です。私の孫は今1歳半になりましたが、お腹がゆるいときなどにスピルリナを離乳食に混ぜて食べさせていました。赤ちゃんの便は劇的に変化します。
市販のレトルトの離乳食を食べさせる時でもFBRAを1包加えると安心です。FBRAは玄米を麹菌で発酵させたもので添加物も一切入っていません。赤ちゃんには難しい玄米食をこれで実現できるのは素晴らしいと考えています。是非お試しください。
わんちゃんにも発酵玄米
実は、私の飼い犬(トイプードル)はこのFBRAのサプリメントが大好きです。私が袋を取り出して食べようとすると、瞬時にみつけて「ちょうだい!」と私の膝に前足をのせて、ちょんちょんと催促します。
私の手に載せてあげるとぺろぺろと食べてあー美味しかった!と舌なめずりをします。
そして、何より素晴らしいのが、「うんち」の変化です。食物繊維がたくさん入っていますから当たり前なのですが、それはそれは立派な”バナナうんち”になります。わんちゃんの便の変化はしっかり観察できてすぐにわかります!
わんちゃんを飼っている友人たちに試してもらったところ、みんな大喜び。毛並みもとてもよくなります。また、FBRAを飲ませているわんちゃんの肉球がしっとりプルプルになったといご報告も頂いています!栄養はやはり大切ですね!
今、わんちゃんの寿命も延びていて認知症が問題になっているようですが、きっとFBRAを食べていればわんちゃんも健康で長生きになると思っています。
FBRAについてお勧めのものなど詳しくお知りになりたい方はお問合せ欄よりご連絡ください。
参考文献
谷口久次、橋本博之、細田朝夫 他:米糠含有成分の機能性とその向上.日本食品科学工学会誌 59(7):301-318,2012.
食と健康研究所ふぶらぼホームページ
なお、この記事は日本オーソモレキュラー医学会HPに掲載されているものを改編したものです。元記事はこちらになります。
発酵玄米の健康効果