こころと身体の栄養療法

主治医が教えてくれない栄養療法の話    うつ、がん、アンチエイジング

ナイアシン(ビタミンB3)の素晴らしい健康効果 寿命延長、花粉症、二日酔い、統合失調症、うつ、不眠、脂質異常症、ダイエット、アンチエイジング

ナイアシンには素晴らしい健康効果がたくさんあります。脂質異常を改善して心血管疾患を予防したり、睡眠障害、うつを改善したり、血流改善してアンチエイジング効果もあります。
アルコールの代謝にもかかわるので二日酔いを防いだり、アルコール依存症にも効果があります。解毒効果がありますので、睡眠薬や抗不安薬の依存症からの離脱にも有効だと言われ低ます。アレルギーを抑えるので、花粉症や喘息の症状も緩和します。

それらを総合すると、健康寿命がかなり伸びると予測されています。ぜひ、すべての方に毎日ナイアシンのサプリメントを飲んで頂きたいと思います。

ナイアシンにはフラッシュ(皮膚が紅潮する)という副作用があります。
ヒスタミンを放出させる働きによるもので、私はこれは副作用ではなく、作用だと捉えています。けれどもこの症状が出るために、1回飲んだだけで、こんなひどい薬は飲めない!と服用をやめてしまうもったいない人がたくさんいます。
とてももったいないことです。

ぜひ、ナイアシンについてよく理解し、安心して一生のみ続けるようにしてください。

ナイアシンについて

ナイアシンはビタミンB3と呼ばれており、ビタミンB群に分類されています。ビタミンB群は水溶性のビタミンです。

ナイアシン(ニコチン酸)とナイアシンアミド(ニコチン酸アミド)の2種類があります。

ナイアシンはペラグラの特効薬として知られており、抗ペラグラビタミンとも呼ばれています。また、ナイアシンは、HDL(善玉コレステロール)値を上昇させることによって心血管系リスクを下げる、関節炎の痛みと炎症の予防、うつ、不安症とアルコール依存症を含む種々の精神的疾患の治療に対する効果など、様々な利点を持っているのです。

PUBMEDで検索をすると、2019年5月時点で、「ニコチン酸」として発表された論文の数が45000を超えていることからもナイアシンが非常に注目を集めている栄養素であることがわかります。

ナイアシンを多く含む食品

全粒穀物、新鮮な果物・野菜、肉、魚類、卵、マメ類、ナッツ類、いちじく、プルーンをはじめ、多種多様な食品から摂ることができます。

ナイアシンの歴史

ペラグラ
スペインの内科医Casalが1735年にライ病と区別して「バラ病」という名前で報告をしたのがペラグラの発見といわれています。その後、1771年にイタリア語の「荒い皮膚」という意味のペラグラという名前で報告されました。

そして、ペラグラはトウモロコシの普及とともに全世界に急速に広がりました。
米国ではSearcyがイタリアの医学書を調べて1906年に精神病院の88名のペラグラ患者について報告したのが始まりです。ただし、このころは伝染性の疾患であると考えられていました。

その後、公衆衛生局のGoldbergerらがペラグラの解明に乗り出しました。孤児院におけるペラグラでは医師や看護師には病気の人がいないことから、伝染性ではないと主張し、食の違いに気づき、良質のたんぱく質を子どもに与えたところ、ペラグラがあっという間に消失したのです。けれどもその後、予算の問題で食事が質素なものに変わると再びペラグラの子どもたちが増えたのだそうです。

ビタミンB1の発見者であるFunkが1913年にペラグラは欠乏症であるという説を発表しています。その後、GoldbergerらがペラグラがビタミンB群によって予防されると報告しました。

また、犬、ラットなどを使った実験により、ニコチン酸(ナイアシン)によりペラグラが治癒することが見出されました。
さらに、ナイアシンがなくとも、トリプトファンがあればペラグラにかからないこともわかり、トリプトファンからナイアシンが産生されることも示されました。

ナイアシン不足の症状

皮膚炎、口内炎、腸炎、精神症状、認知症

ナイアシンの体内での合成

ナイアシンは外から取り入れるだけではなく、肝臓でトリプトファンから合成されます。

トリプトファン60mgからナイアシン1gが作られます。

体内でその1.5%が作られるため、「体内で合成されない物質」というビタミンの定義にはあてはまっていません。

ナイアシンの摂取が足りないと体内の合成でたくさんのトリプトファンが使われることになり、必須アミノ酸であるトリプトファンが不足します。すると、トリプトファンから作られる神経伝達物質のセロトニン不足につながるため、精神的に落ち込んだりするのです。これについては、身体の元気はこころの元気 うつには運動で炎症を抑えるの記事でご説明しました。
トリプトファンからセロトニンが合成される時にナイアシン、ビタミンB6、マグネシウムが必要です。

トリプトファン ナイアシンの転換に影響を与える因子
不飽和脂肪酸の摂取はナイアシン転換率を上げることもわかりました。
エストロゲン、プロゲステロンもナイアシン転換率を上昇させます。逆に、高容量のたんぱく質摂取はトリプトファンからナイアシンへの転換率を下げることがわかっています。これはアミノカルボキシムコン酸脱炭酸酵素の活性が上がるためです。糖尿病も転換率が低下します。

ナイアシンの種類とその効果の違い ナイアシンとナイアシンアミド

ナイアシンには、ナイアシンとナイアシンアミドがあります。この2つともがNAD(ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド)、NADP(ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチドリン酸)を作り出します。これらは代謝酵素で、エネルギー産生に重要な役割を果たします。

ナイアシンは、ナイアシンアミドよりも、細胞内のNADの増加効果が高いこともわかっており、ナイアシンのほうがより効果が高いわけです。

ナイアシンの働きと健康効果

ナイアシン(ニコチン酸)についてPUBMEDで検索をかけると、公表されている論文は45,000を超えています。
この膨大な数を見ても、どれだけナイアシンが注目を集めているかがよく理解できると思います。

1)寿命の延長

心疾患の患者さんを対象にしてナイアシンを投与した研究では、ナイアシンを5年間投与した後、15年間の長期追跡調査を行いました。ナイアシンは5年間しか飲んでいないにもかかわらず、ナイアシン投与群は全死因による死亡率が低いことが明らかにされました(1)。
ナイアシンは以下にご紹介するさまざまな健康効果により、寿命を延長する効果があると考えられています。

2)補酵素として酵素の働きを助ける

ナイアシンは体内ではニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)となってエネルギー産生やアミノ酸、糖質、脂質代謝に関わる活性型補酵素として働きます。
NAD(P)を補酵素としている酵素は400種類以上にもなります。人の体内の酵素の約20%がNADを必要としているのです。ですから、必要量もかなり多いのです。

3)エネルギー代謝

補酵素の働きの中でも、特に、エネルギー産生は非常に重要です。ナイアシンはコエンザイムQ10とともに、ミトコンドリアのエネルギー産生能を高めます。

解糖系、脂肪酸のβ酸化、TCAサイクルで水素を取り出してエネルギー産生をするための働きを持っている脱水素酵素の補酵素としてNADとFAD(ビタミンB2の活性型)が必要となります。これが水素と結合するとNADH,FADH2となって、次の電子伝達系に入ることができ、さらに効率よくATPを産生することになります。

エネルギー産生効率が良いことは、生体にとって非常に重要です。これが、健康の基礎となると考えられています。

4)血液循環の促進・血圧降下作用 高血圧治療

ナイアシンの血管拡張作用によって血液の循環を促進する働きを持っています。これは、ナイアシン活性化プロスタグランジン経路によってもたらされる反応であって、決して有害なものではありません。

また、血管拡張しますので、血圧が低下します。

5)皮膚・粘膜を健全に保つ 美肌、アンチエイジング

細胞の分化に関わり、皮膚や粘膜を健康に美しく保つ働きをしています。ナイアシンは細胞の新陳代謝に必要となるNADPを作り出していますので、ナイアシン不足になると皮膚炎、消化管の粘膜の炎症、潰瘍などになります。この皮膚症状がペラグラの特徴の一つであるわけです。

美肌、アンチエイジングのために欠かすことができないビタミンです。

6)性ホルモンの生成に関与

エストロゲン、プロゲステロンなどのホルモン生成に関わっています。

7)高脂血症(脂質異常症) 脂質代謝に関与

ナイアシンは脂質異常症を改善して動脈硬化、心血管疾患を予防、予後の改善に関係しています。

ナイアシン:悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を下げる
      中性脂肪を下げる
      善玉コレステロール(HDLコレステロール)を上げる

ナイアシンは冠動脈疾患、脳出血、脳梗塞の発生率を下げることがわかっています(1,2)。
ナイアシンによる脂質異常症の予防効果は、プロスタグランジンを介して生じることがわかっています。代謝は肝臓で行われます。

脂質異常症の治療には現在スタチン製剤がメインに使われています。

メバロチンやリピトールなどの薬を飲んでいる人がとても多いのです。

ところが、これらの薬はLDLコレステロールは下げますが、副作用も多く、LDLコレステロールを下げる目的であれば、ナイアシンの方がよほど安全で、効果も高く、そして安価だということがわかっています。

もし医療費の自己負担額が100%(全額自分で医療費を支払う)となったら、全員がナイアシンを選ぶことは間違いないでしょう。
医学会には製薬会社から多額の寄付金が寄せられています。
もしこのようなお金がなくなったら、そして医師が薬を処方しても処方料が無い、あるいはビタミン剤を患者さんいすすめて処方料が得られるようになるとするならば、脂質異常症の患者さんは全員ナイアシンを飲むことになるでしょう。
日本は特殊な医療制度のために、製薬業界においてドル箱となっています。薬の処方はしばしば経済的な理由から決められていることに患者が気がつかなければいけません。
自分で勉強して、何の薬を選択するのか、しっかりと考えてみてください。

ナイアシンと脂質異常症についてはまた改めてご紹介予定です。

8)解毒作用 アルコール分解に関与、二日酔い、アルコール依存症

ナイアシンには解毒作用があります。上の脂質異常改善とも関係していますが、チトクローム450、プロスタグランジンを介してアルコール薬を体外に排出させる働きを持っているのです。

アルコールについては、ビタミンB1と一緒にアルコールの分解にも使われています。アルコールがアルコール脱水素酵素でアセトアルデヒドになり、その後アセトアルデヒド脱水素酵素で酢酸に分解されます。この脱水素酵素の補酵素としてナイアシンが働くのです。二日酔いの予防にもナイアシンは有効です。

さらに、ナイアシンはビタミンB1とともにアルコール依存症の治療にも効果を発揮します。アルコール依存症は非常に治療が難しく、一度断酒できたとしてもまた飲酒を再開してしまう、麻薬のようなものです。

これをビタミンで治療できることをホッファー博士が実証しています。
あらゆる薬の依存症(睡眠薬など)の治療にも効果があります。

9)抗酸化作用

細胞は細胞膜によって覆われています。この細胞膜は不飽和脂肪酸でできています。
活性酸素は不飽和脂肪酸を酸化させて老化を進行させたり、がんを誘発したりします。
細胞内の過酸化脂質はグルタチオンペルオキシダーゼによって水とアルコールに分解されますが、これに伴って抗酸化物質であるグルタチオンが酸化型グルタチオンとなります。ナイアシンは酸化型グルタチオンをグルタチオンに還元します。
ナイアシンの抗酸化作用により、細胞の障害が予防できるのです。

10)抗アレルギー作用

ナイアシンはヒスタミンを放出させます。アレルギー反応はヒスタミンの放出によって鼻水やかゆみが出ますので、このヒスタミンを頻繁に放出させるとアレルギー反応が出にくくなります。細胞のヒスタミンを少なくしてしまえば、症状が出ないわけです。
ぜんそく発作なども緩和されます。

ナイアシンフラッシュはまさにヒスタミンによって起きるものですから、かゆみ、肌の発赤などが症状として現れます。

11) 大腸の炎症、大腸がんの予防

ナイアシン不足が腸の炎症を起こすこと、そしてナイアシンが腸の炎症を抑えることは知られていました。
けれども、そのメカニズムはよくわかっていませんでした。

最近の研究で、その仕組みが解明されつつあります。
マウスを使った実験では、大腸において、Gpr109aを活性化させることがわかりました(4)。この研究では、ナイアシン受容体マウスを用いた実験で、ナイアシンが酪酸塩とともに、結腸において、Gpr109aを介してインターロイキン(IL-18:IFN-y産生を誘起するサイトカイン)を誘発、また、APCs(抗原提示細胞)においてインターロイキン10(IL-10)とアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ADH1a)を誘発することが示されました。

IL-18は結腸の炎症および炎症に関連する癌の抑制に重要な役割を果たしています(5)。また、インターロイキン10は潰瘍性大腸炎や、炎症性腸疾患のリスク増加に関係しています(6)。

つまり、ナイアシンと酪酸塩は一緒に働いて、腸の炎症を抑え、大腸がんを予防する働きを持つと思われます。

ナイアシンはアルコールをアルデヒドデヒドロゲナーゼ(酵素)で分解するときの補酵素ですが、さらに酵素自体を誘発するということで、アルコール代謝に深く関わっているのです。

12)睡眠障害

ナイアシンは肝臓でトリプトファンから作られます。ナイアシンの摂取が減って、体内で不足すると、必須アミノ酸のトリプファンからの合成が進みます。
すると、脳内でトリプトファンから作られるセロトニンが減ってしまいます。

セロトニンは精神を安定させるホルモンですから、心が落ち着かなくなり、うつになったりいらいらしたりするのです。
また、セロトニンからメラトニンが合成されるので、メラトニンも不足します。
メラトニンは睡眠ホルモンとも呼ばれていて、不足すると寝付きが悪くなったり、眠りが浅くなるなど、睡眠の質が低下してしまうのです。

ナイアシンをしっかりと摂取することによって、セロトニン、メラトニンを十分に供給することが出来るようになりますから、眠りが改善されるのです。

不眠症の方はしっかりとナイアシンを摂りましょう。

13)統合失調症

ホッファー博士は、統合失調症はペラグラである、と言っています。
統合失調症患者にナイアシンを与え、非常に好成績の治療結果を発表しています。
統合失調症をはじめとする精神障害は糖質摂取による脳神経の変性が原因と考えられているため、糖質制限も加えて行うことが大切です。

統合失調症の患者さんはナイアシンフラッシュが出ないことが多いのですが、これはナイアシンが欠乏している証拠です。これを利用して、統合失調症の検査にナイアシンを経口摂取したり、皮膚に塗布したりする方法を用いることもあるそうです。

14) うつ病

ナイアシンが十分にないとセロトニンの量を増やすことができません。上述したように、トリプトファンがナイアシンとセロトニン、両方に変換されるためです。
ナイアシンが不足するとうつ状態となります。
逆にナイアシンが十分であれば、セロトニンがたくさんできて、心が安定します。うつの改善にはナイアシンが必須なのです。うつに対するナイアシンの効果については、下のソウル博士のビデオの中でもご紹介しています。

15) アルツハイマー病のリスク低下

65歳以上のシカゴの市民6158名についてナイアシン摂取量とアルツハイマー病の発症リスク、認知機能の低下について調べた大規模なコホート研究があります(7)。
食事によるナイアシン摂取量とアルツハイマー病発症率、認知機能低下との間に負の関係がみられました。ナイアシンの1日の摂取量が最も多いグルーブでは、最も少なかったグループに比較して、アルツハイマー病の発生率減少と認知機能の低下の遅れが認められたのです。

ナイアシンはこのように体内で多くの重要な役割を果たしているため、必要とされる量は非常に多く、各種ビタミンの中でも特に必要量が多いと言われています。不足しないように気をつけなければいけません。

ナイアシンの副作用

ナイアシンの一番大きい副作用はフラッシュ(皮膚紅潮)、かゆみ、発疹です。副作用について知らないで飲むと何が起こったかとびっくりしてしまうほどです。この副作用のために、服用を中断してしまう人が多くいます。素晴らしい効果のあるナイアシンを飲むのをあきらめてしまうのはとてももったいないことです。

けれどもやはり、フラッシュが出ると、「薬で皮膚が赤くなる」というのをいわゆる「アナフィラキシーショック」だと勘違いしていまい、慌ててしまう人が多いのです。
ナイアシンをのんで、出るのはフラッシュであって、アナフィラキシーショックではありません。ほとんどは1時間~数時間で収まります。

この副作用を避けるためには、服用を少量ずつ始めることです。それでもフラッシュや痒みが強くでてしまって我慢できない場合には、フラッシュの出ないナイアシン(ナイアシンアミド)に切り替えて、少しずつナイアシンを増やしていくとよいでしょう。

かゆみが我慢できずにかきむしる人もいますが、かかないようにしてください。かくと皮膚に傷が出来てしまいます。どうしてもというときは手のひらでぱんぱん、とたたくようにしましょう。
これらの症状は数時間でうそのように消失します。

フラッシュを起きにくくする方法は、ビタミンCの摂取です。フラッシュが起こる原因はヒスタミンの放出です。ヒスタミンはアレルギー、かゆみを引き起こす物質として知られています。
フラッシュやかゆみが出やすい人は、アレルギー体質のことが多いのです。ナイアシンを飲むとアレルギーが抑えられるのです。

アスコルビン酸はこのヒスタミンを破壊する働きがあります。ですからビタミンCをたくさん摂ってその血中濃度が上がっているとヒスタミンによるフラッシュが起きにくいのです。

このことは、アスコルビン酸もアレルギー反応を抑制する働きを持つことを示しています。
ナイアシンフラッシュが起きる方は、ビタミンCの血中濃度が低い証拠です。
ナイアシンと一緒に、ビタミンCも摂りましょう。

コラム 私のナイアシンフラッシュ記録

私はナイアシンのサプリメントではフラッシュはあまり起きません。一度に500mgを飲んでもほとんど何も感じません。1000mgでは、体調によって少し赤みが出る程度です。私のフラッシュ体験は、点滴でナイアシンを入れた際に起きました。

点滴を始めてすぐに、耳たぶがびりびりする感覚に襲われました。すぐに唇も同じようになりました。鏡を見ると、顔がまだらに真っ赤になっていました。そしてすぐにそれは全身に広がりました。
「あーきたきた」
と思いましたが、あまりに赤く、かゆみが出て、胸がどきどきしてしまいました。一瞬点滴をやめようかと思ったほどです。
けれどもしばらくするとあれよあれよという間に赤みがひいていきました。1時間くらいたったころでしょうか。
そしてなんともいえない爽快感がひろがりました。全身の血管が拡張して、隅々まで血液が行き渡ったような気持ちになりました。

点滴をするときに、血管が細い状態(ゴースト血管のように)になっていると、せっかくのビタミン類も細胞に届きません。各種点滴を行うときにナイアシンは必須だと感じています。

その後、フラッシュについてしばらく観察記録をつけていました。私のフラッシュはかならず皮膚の”チリチリ感“から始まります。ですから、すぐに
「あ、今日はフラッシュが出た!」
とわかるのです。
記録をつけていると、いろいろと不思議なことがわかってきました。
同じ量の飲み薬、点滴を打ってもフラッシュが出るときと出ないときがあり、しかもその出方も日によってかなり程度に違いがあるのです。
そこで、状況をくわしくみてみました。
フラッシュが出やすいのは、

疲れているとき
体調不良のとき
ケガをしているとき(めったにありませんが、包丁で指を切ったときでした)
お酒をのんだ後、ただし、出ないこともあり
お風呂あがり
運動後(運動前に飲んだ場合も)

考えると私はビタミンCの血中濃度が下がっている場合にフラッシュが出るのではないかと思います。血液検査で確認したわけではありませんが、ビタミンCの摂取を1日10gに増やしてからは、フラッシュはほとんど出なくなってしまいました。
私はフラッシュの後の爽快感が大好きでしたので(こんな表現をするとなんだか中毒患者のような気がしてしまいますが)、その意味では残念なのですが、ビタミンCがしっかりと充足している証拠と考えると安心します。

お酒との関係は少し複雑です。
アルコールを飲んでいると、ナイアシンの濃度が下がってフラッシュは出ないのではないかと思いましたが、私の場合はそうではありませんでした。人の身体はそう単純ではないので、様々な条件によって反応が変わってくるのではないかと考えています。

ナイアシンのサプリメントの摂取量について

必須栄養素であるナイアシンは、50年以上もの長い期間、高用量(1日1,000~2,000 mgまたはそれ以上)で、きわめて安全に使用されています。必要以上にフラッシュに神経質にならないようにしてください。
始めは少量からにします。フラッシュが出て、数時間続くかもしれないことを考えると、夜に飲むというのがよいでしょう。

ナイアシンの飲み方

ナイアシンフラッシュが出ますので、フラッシュフリーのナイアシン(ナイアシンアミド)などを使いながら徐々に身体をならして行きます。フラッシュが出ると顔がほてったりすることもありますから、まずは人にあわないで済む夜、お休み前に飲むのが良いでしょう。
ナイアシンフラッシュの出方には個人差が大きいため、飲み方も一人一人フラッシュをみながらの調整が必要です。
しかも、同じ人であっても体調の変化により必要量が変わったり、フラッシュが出たり出なかったりするのです。
ですから、ご紹介する飲み方はあくまでも目安としてください。
フラッシュを抑える方法は、ビタミンCの摂取です。
ナイアシンを飲み始める前からビタミンCをしっかりサプリメントで摂りましょう。

ビタミンCは最低1日3g、私は大人であれば10gをお勧めしています。1gずつ細切れに摂るようにしてください。

1) 脂質異常症、心血管疾患、統合失調症などの治療
これらの病気の治療には、高用量のナイアシンが必要となります。

第1ステッップ
ナイアシンアミド 500mg   1日3回 朝昼夜
ナイアシン  100mg〜500mg  1日1回 夜
第2ステップ
ナイアシンアミド 500mg   1日3回 朝昼夜
ナイアシン500mg   1日3回  朝昼晩
第3ステップ
ナイアシンアミドをナイアシンに置き換えていきます。最終的に
ナイアシン1000mg   1日3回  朝昼晩

第1ステップから始めて、少しずつ量を増やしていきます。
フラッシュが出にくくなったら
ナイアシンを朝、昼にも追加します。
ナイアシンが1日3回、500mgずつ飲めるようになったら、今度はナイアシンアミドをナイアシンで置き換えていきます。
ナイアシンだけで1日3000mg程度摂れるようになるまで調整しましょう。
ただし、この量も個人差があります。
フラッシュが気になりそうな方は、はじめは量が調整できるように100mgのナイアシン錠を購入し、慣れたら500mg錠に切り替えてください。

2) 健康増進のためのナイアシンの飲み方
健康である方、少しだけ脂質の検査値が高い、というような場合には少しマイルドな量で効果が出ます。

第1ステッップ
ナイアシンアミド 500mg   1日2回 朝夜
ナイアシン    25mgから少しずつ増やす  1日1回 夜
第2ステップ
ナイアシンアミド 500mg   1日2回 朝夜
ナイアシン500mg   1日1回  晩
第3ステップ
ナイアシンアミドをナイアシンに置き換えていきます。最終的に
ナイアシン500mg   1日2回  朝晩 または
ナイアシン500mg   1日3回  朝昼晩 
第1ステップから始めて、少しずつ量を増やしていきます。
フラッシュが出にくくなったら
ナイアシンだけで1日1000mg~1500㎎摂れるようになるまで調整しましょう。
ただし、この量も個人差があります。

フラッシュが気になりそうな方は、はじめは量25㎎入りのサプリメントを準備し、その後調整しながら100mg、慣れたら500mg錠に切り替えてください。ただし、フラッシュは恐れる必要はありませんので、100㎎から始めて頂いても大丈夫だと思います。

繰り返しますが、量については、これが適量というものはありません。これ以上飲んだらだめ、ということもありません。
個人差もあり、同じ人であっても体調による変化もありますので、あまり神経質にならず、朝フラッシュが強く出た場合に、その日おでかけであれば昼は飲まずに様子をみたり、逆にお休みの日の朝フラッシュが出たら昼さらに増量して飲んでみるなど、工夫をしてみてください。

ナイアシンをのんで気分が悪くなる人もいますが、徐々に慣れますので少量から少しずつ飲むようにしてください。
ナイアシンは水溶性ですから、多少多く飲んだとしても全く問題ありません。

ナイアシン、ビタミンCについて、おすすめのサプリメントをご紹介しておきます。

ナイアシン25㎎入りサプリメント
ナイアシンアミド 500mg

ナイアシン100mg
ナイアシン500mg

ナウフーズ 【2個セット】  ビタミンC1000 ローズヒップ タイムリリース 250粒

ソラレー ビタミンC 2ステージタイムリリースタブレット

ナイアシン服用に注意が必要なケース

①高血圧の薬を服用している人
多量投与で血管が拡張すると血圧が低下する可能性があります。血圧が下がりすぎると危険ですので、降圧薬を服用中の人は慎重に、少しずつ量を増やしてください。
②胃潰瘍などの消化管の潰瘍のある人
ナイアシンは酸ですので、潰瘍性疾患がある人は悪化する可能性があります。
③痛風(高尿酸血症)の人
ヒスタミンは尿酸値を上げることから、痛風の人も注意が必要です。血液検査で尿酸値を確認しながら服用してください。
④糖尿病
ナイアシンは血糖値を上昇させる可能性があります。ナイアシンを服用すると、糖尿病の発症リスクが上がる可能性が指摘されています(8)。
⑤肝機能障害
肝機能が悪い方も少量から服用し、観察しながら増量するようにしてください。
⑥脂質異常症(高脂血症)治療中の人
スタチンと一緒に服用すると、ミオパチーなどの副作用の発症リスクが上昇するという報告があります。

ナイアシンが肝機能障害を引き起こす可能性があるという研究があります。ただし、オーソモレキュラー医学ニュースによると、
「ナイアシンを飲むと肝機能の検査値があがるが、これは肝臓の働きが活発になっていることを意味しており、肝臓の障害を示すのではない」
とのことです。
もともと肝機能障害がある場合には慎重になりますが、健康な方ではまず問題はないと考えられています。
栄養療法を学んでいる循環器の専門医はコレステロール低下作用のあるナイアシンを1日あたり3000mg摂るように患者に指導しています。
栄養療法の専門の医師は、長期間ナイアシンを大容量で飲んでいるケースが多いのです。ホッファー博士もナイアシンを愛用していました。博士の摂取量は1日4500㎎(1500㎎×3回)でした。
博士は91歳の長寿を全うしています。

「Nutritional Links to Depression and Mental Illness」 アンドリュー・ソウル博士のビデオ うつ病

私が何気なく目にして衝撃を受けたビデオです。栄養療法に突き進むきっかけの一つとなりました。ここにその内容をご紹介しておきます。内容が重なっていますが、ご了承ください。

すべての精神疾患は栄養障害である、という話の後、ペラグラについての説明が始まります。

南アメリカでトウモロコシを主食として食べている人たちにペラグラが多発した話です。とうもろこしはトリプトファンが少ないので、これを食べていると体内でナイアシンを作るのの必要なトリプトファンが足りず、結果としてナイアシン不足になります。

ペラグラは最初は皮膚炎と下痢で発症するため、誰も栄養が原因だということに気が付かないのです。その後引き続いて認知症になります。そして最後は死に至ります。ペラグラは深刻な病気です。でもナイアシン以外の治療法はありません。ナイアシンを与えればあっという間に治ってしまうのです。

ホッファー博士はナイアシン治療をしてもまだ認知症が残っているペラグラの患者はナイアシンの欠乏症ではなく、依存症だと考えたそうです。そして彼らに1日数千ミリグラムのナイアシンを与えてみました。すると認知症、精神病、統合失調症などの患者は90%が改善しました。私たちが精神疾患をみたときには、まずは栄養障害を疑わなくてはいけないのです。

動物実験による栄養療法の効果の確認

栄養療法についてたくさんの動物実験が行われています。

栄養は病気の原点です。動物も同じです。ソウル博士は猿を2群に分けて、片方には栄養価の低い食事、もう片方にはビタミンをたくさん含む食事を与えました。すると栄養価の低い食事の群は抑うつ、認知症、ふつうに行動できなくなる。行動率の低下などが起きたそうです。

別の実験では、様々な年代の猫を2群に分けて、片方は生のフレッシュな食事をさせ、もう片方は調理された食事を与えました。すると生の食事を食べた猫は元気でしたが調理された食事を食べた猫はありとあらゆる病気、アレルギー、喘息、がん、関節炎、心臓病、うつ、認知症を発症しました。そして興味深いことに、その後、病気の猫に生の食事を与えると具合が良くなったのです。生の食事、および調理された料理がどのような内容であったのかは詳しく紹介されていませんが、おそらく調理された食事というのは、栄養価の低いものであったと推測されます。

うつになるのは決しておかしいことではありません。栄養失調になったら、うつになるのですから。

解決法はとてもシンプルなのですが、私たちにはこれまでの常識を覆すその簡単な治療法を受け入れるのはとても難しいことです。

シンプルな栄養療法

① 栄養失調を治すためには良い食事をすることが重要です。。たくさんの新鮮な野菜、果物、ナッツなどを食べて、よく噛んで、1カ月後にどうなっているかをみてください。
② ナイアシンを15分おきに250ミリグラムとります。すると”ナイアシン・フラッシュ”が起きます。ですが、これは心配しなくてもすぐによくなります。

ある女性は自殺の危機にある重症なうつを患っていました。誰とも食事をとらず、話さずという状態でした。家族がソウル博士のところにきて相談しました。

「アブラハム・ホッファー博士は1日3000㎎のナイアシンを与えていましたが、できるだけたくさんのナイアシンを与えてみてください」
と話したところ、家族はその4倍近い量の1日11500ミリグラムを彼女に与えました。
彼女はとても具合がよく、元気になりました。ところが、精神科医のところに行って、このことを報告すると、
「そんなにたくさんナイアシンをのむのは危険だからやめなさい」
と言われて、ナイアシンをとるのをやめてしまいました。するとまた戻に戻ってしまったのだそうです。

ナイアシンは安全です。ナイアシンを大量に飲んでも、だれも亡くなっていません。それに対して、うつによる自殺でいったい何人が亡くなっているというのでしょうか?
③ 高容量のビタミンC。気分をよくするための物質をつくり出す助けとなる。
④ トリプトファンをたくさん含む食べ物を食べること。カシュ―ナッツ、鶏肉、七面鳥、ナッツ類、これらはアンチうつフードです。

医師は栄養についてしっかりと勉強していないのです。
もし健康になりたければ、自分で情報を集め、勉強し、そして行動してください。ビタミンをたくさんとって、よい食事をすることが大切です。

以上、アンドリューソウル博士のビデオ紹介でした。

うつ病が栄養療法でよくなるということは、私も今までに多くの症例で経験しています。完全に薬がなくならないまでも、ほとんどの症例で、減薬が可能です。是非、うつ病の方の栄養療法をお試しください。

私のブログは今何位でしょう?

参考文献

1) Canner PL et al. Fifteen year mortality in Coronary Drug Project patients: long-term benefit with niacin. J Am Coll Cardiol, 8(6): 1245-1255.1986
2) Carlson LA. Nicotinic acid: the broad-spectrum lipid drug. A 50th anniversary review. J Intern Med, 258(2): 94-114. 2005

3) Hoffer A, Saul AW, Foster HD Niacin: The Real Story: Learn about the Wonderful Healing Properties of Niacin. Basic Health Publications. ISBN-13: 978-1591202752.2012

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