宮川路子の水素栄養療法

主治医が教えてくれない水素・栄養療法の話   うつ、がん、アンチエイジング

こころと身体の健康のために血管力を上げましょう

健康法については、いろいろと記事にしていますが、ここでは血管に焦点をあててみたいと思います。

血管を元気に鍛えましょう

こころの健康のための美容医療でお話ししたように、見た目が若い人は実際に長生きをするということがわかっています。つまり、肌にはりのある人は身体の中の血管や臓器もぴんぴんとしていて元気だということです。

血管はすべての健康の基本となります。

血管は身体を作る37兆個の細胞一つ一つに栄養素と酸素を運び、老廃物を取り除く働きをしています。
全身の血管の長さをすべて合わせると10万キロになると言われています。もちろん、身体の大きさ、背の高さによって個人差があると思いますが、身体全体に網の目のように張り巡らされている血管は想像を絶するような長さとなるのです。

心臓が収縮して送り出される血液は、まず大動脈に入り、次に 中くらいの動脈、そして細い動脈へと送られて体のすみずみまで届けられていきます。動脈は弾力性があり、伸縮しながら血液を運ぶため、第二の心臓とも呼ばれています。心臓はポンプ、血管はポンプにつながれたホースのイメージです。しっかりと血液を運ぶためには、しなやかで強い血管がなければいけません。

血管が元気であれば隅々まで栄養素や酸素を行き渡らせることができます。

元気な血管は、力強く酸素、栄養素を細胞に届けます。
たとえば肌は身体の表面にありますから、心臓から遠く、一番細い血管(毛細血管)から酸素と栄養素を受け取っています。
このおかげで肌はみずみずしく若さを保つことができます。血管が細くて血流も少なければ、肌はどんどん元気を失い、くすみ、しみができて張りもなくなってしまいます。

髪の毛もまた、血管から栄養を受け取っています。歳をとると髪の毛が少なくなることを気にしている人が多いと思います。髪の毛が抜けてしまうのは、しっかりと栄養が行き渡らないことが大きい原因です。

髪が薄い人の頭皮を顕微鏡で見ると、血管がほとんど見当たりません。若くて髪の毛がふさふさしている人の頭皮は赤い赤血球で満たされた血管の断面がたくさん観察されます。

血管が弱く、もろくなると身体はいろいろと具合が悪くなります。

死に至る心筋梗塞や脳梗塞なども血管のダメージが原因です。
糖尿病は怖い合併症で知られていますが、腎障害、失明、末梢神経障害のどれをとっても血管が傷害を受けることが原因となっています。

力強く、しなやかで弾力性に富んだ血管を作っていくことが健康、そして若々しい見た目のための第一歩なのです。

血管の個人差について

私は以前は社員の健康診断のときに採血を担当していたことがありました。今では採血は健診機関の方にお任せしていましたが、当時は1日で100名以上の採血をしたものです。
また、クリニックでは採血や注射、点滴をすべて自分で行っています。多くの方の腕を見ていると、血管にはいかに個人差があるかを感じています。

血管は、その走行の場所、太さ、張り、厚み、深さなど様々です。
年齢に関わらず、若くて太く元気な血管の持ち主は健康そのものであることが多く、細くてまったく張りがない人は血圧が低かったり、栄養状態が悪くて元気がなかったりと、血管を見るだけである程度健康状態がわかる(少し大げさですが)かもしれません。
そういえば、ある先生は、血管に触っただけである程度血圧の値がわかるとおっしゃっていました。

がんで化学療法を受けている方の血管の多くは弱く、点滴も一度で入らなかったり、入っても途中で漏れてしまったりします。血管の張りがないので、刺さった張りを支えておくことができないのです。

老人の方や栄養が足りない状態の方の血管も同様です。ゆるゆると動いてしまうので、抑えて針を刺そうとしても、横にずれて逃げてしまうのです。

また、肥満の人で血管が太い腕の中に埋もれてしまって見えない人もいれば、力仕事をしている人の腕には太い血管が浮き上がっていて、駆血帯(採血をするときに血流を止めるために巻くベルト)がなくても楽に採血できそうな人もいます。

採血しづらい人が採決前に手をまわすような運動をすると血管が見えやすくなります。酸素が必要になれば血圧を上げて流れる血液量を増やし、血管が通常よりも太くなるのです。腕を採決前に温めるのも血管を拡張させるためです。

病気になったときに入院するとかなりの確率で点滴治療が行われます。血管がしっかりしていない人は、ラインがなかなか取れなかったり、やっと入ったとしてもすぐに漏れてしまって刺しなおしになったりして苦労することになります。しっかりと厚み、弾力性がある血管を作り上げておきたいものです。

針が血管に刺してあるところをイメージしてみてください。
弾力性のあるしっかりとした強い血管は刺さっている針をしっかりと包み込んで固定し、多少動いたとしても抜けたり漏れたりすることはありません。針を抜いた後も穴がすぐにふさがって、血液が漏れるために起こる青あざができるようなことも少ないのです。

よく採血の後に大きな青あざになってしまう人がいますが、針を抜いた後に、動かさずにしっかり5分間押さえることをしていなかったり、血管が弱いなど、ご本人の要因があることも多いのです。もし採血後に青あざになりやすいようでしたら、栄養状態を見直してみてください。

そして、ぜひ血管力を鍛えるようにしてください。

コラム  腕の血管力を上げるための運動

用意するものは500mlのペットボトル2本です。中に水を入れてください。量はいっぱいに入れると重すぎるようでしたら、体力に合わせて加減してください。それをダンベルのように両手に持ちテレビを見るときなどに運動するのです。座ったままでも大丈夫です。手を上にあげ、横に伸ばして水平にしたり、ぐるぐる回したりします。
入院中の方でも簡単にできる運動です。
1日5分でも、10分でもこの運動をやって頂くと、だんだん血管が元気になっていきます。そして1年後にはびっくりするほど太く丈夫になることでしょう。

毛細血管の健康度の評価  ゴースト血管

最近、メディアでゴースト血管という言葉が多く取り上げられるようになっています。

身体のすみずみまで行き渡っている毛細血管がしっかりと元気で赤血球をたくさん運んでいるかどうかが健康の秘訣となりますが、この毛細血管がどの程度健康であるかを評価し、今にも消えそうな状態、あるいは消えてしまって血流がなくなっている状態をゴースト血管と呼ぶのだそうです。本来あるべき場所に血管がない、消えそうになっている状態です。

年齢とともに毛細血管は細く、そして血管壁は皮膚と同様に老化して弱くなっていきます。若い人でも過労やストレス、ホルモンの乱れなどによって毛細血管が弱くなります。
すると酸素や栄養素が運ばるのに支障が出ますし、老廃物を取り除く力も低下します。こうなってくると、血管が分布している部分、つまり体中の老化がすすみます。肌でいえば、弾力性がなくなり、しわ、しみなどが増えて色もくすみます。若い人であれば、目の下にクマができやすかったり、疲れが取れない、手足がむくむなどの症状が出ることが多いです。

いかに毛細血管を若々しく保つか、流れをよくするかが健康を保ち、アンチエイジングのポイントともなるのです。

ゴースト血管のチェックは、指の爪の付け根部分の血管を専用の顕微鏡で観察し、評価としては画面に映っている毛細血管の長さを算出し、さらに流れ具合を専門家が判定します。
ある顕微鏡メーカーでは血管が健康であるかどうかをすぐに判定できるソフトも売り出していますので、それを利用しているクリニックもあります。

また、自分で簡単にゴースト血管をチェックする方法は、手の指の先をぎゅっと押して、離したとき、白くなった皮膚がすぐに赤く戻れば指先の血流が元気に保たれている証拠です。ずっと白いままであれば、血流が少なくなっている、つまりゴースト血管がたくさんあるということなので、何とかしなければいけません。

ゴースト血管を防ぐポイント

さらに血圧が低い人は血液を押し出すポンプの力が弱いわけですから、より血液の流れは滞ります。そして身体の末端、心臓から遠くに行って血管が細くなればなるほど流れなくなるわけです。そのような人はゴースト血管がどんどん増えていきます。

血流を確保するために、血圧をある程度高く保つことは重要です。とくに女性の美容のためには必須です。
「私は低血圧なんです。。。」とおっしゃる女性が多いのですが、それは大変なことです。そのままにしておいてはいけません。しっかりと健康的に血圧を上げる努力が必要なのです。

運動をすると血圧は上がります。運動で健康や若さが保てる大きい理由は、血流が改善するためなのです。

ゴースト血管を防ぐこつについてはこちらもご覧ください。

運動をしましょう

運動は全身の血管を鍛えて健康になるためには必須のものとなります。

社会人になると汗をかく運動を週に2、3回行うということがものすごく大変になります。私が産業医として勤務している会社でも、運動だけはできていないという悩みを抱える社員がたくさんいます。運動をすることの効用のメインは基礎代謝をあげて太りにくい身体を作ること、アドレナリンを出してストレス解消することです。重い腰を上げるのが難しい人が多いのですが、毎日のストレッチや腹筋背筋運動などでもよいので少しずつでも始めてください。

ラジオ体操がおすすめです!

私のおすすめは日本人なら誰でも身体にしみついているラジオ体操です。

ラジオ体操をしっかりやるとかなりの運動になります。
カロリー消費は15分で約60kcalです。ラジオ体操第一が3分、ラジオ体操第二は3分30秒なので、両方合わせたものを朝晩一回ずつ行って頂くとよいでしょう。消費カロリーでは大したことはないのですが、ラジオ体操は筋トレができますから、基礎代謝があがります。

そして、ストレッチで筋肉を延ばし、怪我をしにくい柔らかい身体を作ります。血流の促進、循環改善にも効果的です。
さらにバランス感覚を養うこともできます。
有酸素運動ですから身体のためにもばっちりです。

運動をして汗をかいたときには頬が上気して赤くなり、顔色や肌つやがよくなりますよね。それは運動により血圧も上昇して血流がよくなり、肌の隅々まで新鮮な酸素や栄養素が届けられるからです。

体温も上がります。

運動は美容のためには欠かすことはできません。健康のため、というとなかなか重い腰が上がらないかもしれませんが、美容のため、と思うとよし、やろう!という気持ちになれるのではないでしょうか?

コラム 私が実施しているちょこっと運動

運動をさあやろう!というのはちょっと難しい、という方のために、私が日々実施していることをご紹介します。
階段を使わない
電車の中でつま先立ち・片足立ちをする
私は、大学で講義をするときも教壇の陰でこっそりつま先立ち、片足立ちをしています。
たったこれだけのことでも、毎日やれば大きな効果が出ます。
お試しください。

食べ過ぎ、肥満を避ける

肥満の人は脂肪がたくさんあります。この脂肪にも血管が分布していて血液が送られています。体内の血液の量は一定ですから、脂肪の量が多いほど、必要な場所に届けられる血液が減ってしまいます。これと同じように、間食をしたり、常に食べ過ぎたりしていると、消化管に血液が集中してほかの場所に行き渡らなくなってしまいます。
食べ過ぎ、肥満を避けるようにしましょう。

タバコは吸ってはいけません

血管の健康のためにも、血流を保つためにも、タバコは決して吸ってはいけません。
タバコを吸うと、血管が収縮します。すると、血液が毛細血管まで届かなくなります。

タバコを吸っている人は、40代を過ぎると肌がくすんで、かさかさして、しわやたるみが増えます。これを「スモーカーズ・フェイス」と呼んでいます。

血流が悪いので唇や歯肉の色が紫色になり、歯周病が増えます。
急に老化が進み、明らかに実年齢よりも老けて見えるようになります。

原因はタバコに含まれる有害物質の影響や、一酸化炭素が赤血球のヘモグロビンと結びついてしまうことによる酸素不足、さらに血流不足による栄養素の不足です。
身体の細胞をいきいきと元気に保つためにはなんといっても、血流の確保、健康な血管の維持が重要なのです。

タンパク質をしっかり摂りましょう

血管力のために大切なのは、タンパク質です。

タンパク質は身体を構成している細胞をつくるために欠かすことができません。不足するとじわじわといろいろな症状が現れてきます。細胞に障害が出るということは、すなわち全身に影響が及ぶということです。すべての臓器に支障が生じるといっても過言ではありません。

もちろん、血管の細胞壁もお肌の細胞もすべてタンパク質からつくられていますし。そして、タンパク質の必要量をしっかり摂ることは食事だけではかなり難しいのです。詳しくはタンパク質についてをご覧ください。
血管のの弾力性を維持するために重要なコラーゲンもタンパク質から作られます。コラーゲンとエラスチンというタンパク質が一緒に働いて血管の弾力性を作っています。タンパク質が不足すると血管に張りがなくなり様々な病気の原因となるのです。
コラーゲンの生成にはビタミンCも必要であることも覚えておいてください。

タンパク質をどれだけ摂ればよいのでしょうか

厚生労働省の日本人の食事摂取基準2015年版によれば、私たちの生活において一日あたりに必要とされるタンパク質量は成人男性で50g、成人女性で40gと定義されています。
可能であればこれに10gずつプラスして、成人男性は60g、成人女性は50g摂ることが推奨されています。
体重によっても必要量は異なりますので、タンパク質の摂取の目安は1日体重あたり1kgあたり1gと考えて頂くとよいでしょう。50キロの方であれば50gになります。自身の体重に合わせて計算することでより詳細な必要量を知ることができます。
運動している人の体はさらにタンパク質を必要としています。体重1Kgあたり1.5〜2gが適切な量となるかもしれません。
食事でこの量を確実に確保するのはかなり大変です。

非常に栄養価が高い卵は1個あたりタンパク質は約6gです。
お肉や魚ではおよそ100g中にタンパク質が20g含まれると考えて頂くと計算しやすいと思います。
お肉と魚をあわせて200g〜300g、毎日しっかり食べるのは結構大変です。牛乳でいえば100gあたりタンパク質3gなので、1日2リットル飲まなければいけません。

タンパク質を効率よく摂るコツ

タンパク質含有量の高い日本食のエース、しらす干しを塩抜きしてたくさん食べたり、卵で量を調整するのがおすすめです。そして特に高齢の方や女性で量が食べられないという方、様々な事情で食事の準備がおろそかになるような方はプロテインで補充して頂けるとよいと思います。

健康になるために基礎栄養セットのページをご覧ください。

この栄養セットはタンパク質だけでなく、しっかりとした細胞を作り、皮膚、血管、臓器を強くして、身体の機能を改善するために重要な栄養素を含んでいます。細胞の中で行われているエネルギー代謝、老廃物の除去のためにも必須です。基本セットをとることが、若々しい見た目とこころと身体の健康を手に入れる第一歩となるのです。

ビタミンCを摂りましょう

ビタミンCは血管の強度を高める作用があります。
ビタミンCはコラーゲンを作り出すために必須です。しっかりと弾力性のある血管をつくるためには、ビタミンCを十分に摂ることが大切なのです。
ビタミンCの摂取量の目安は、成人であれば1日10gです。
必要量には、身体の調子によって個人差が出ます。1日量を細切れに、何回にも分けて摂取します。下痢が起きる手前が必要量ですので、ご自分で調整してみてください。

身体を温めましょう

身体を冷やすことは百害あって一利無しといわれています。

血液循環の観点から考えてみると、体温が低くなると体温を上げようという方向に身体が動くため、末梢血管を収縮させて血液を身体の内部に保とうとします。すると血圧が上がり、循環も悪くなり、肌には栄養や酸素が届かず、老廃物もたまったままになりますからくすみ、しみ、しわ、たるみの原因となります。

末梢血管が拡張して皮膚に十分な血液を行き渡らせるために、定期的に運動で身体を温めるのはもちろん、日頃から身体を冷やさないことを心がけてください。

体温を上げると免疫力が高まるということもよく知られています。実はこれには科学的根拠はないと批判している人もいますが、温熱療法ががんに効果があるという説もあります。これは、発熱によってがんが縮小・寛解したという症例報告が多くあるからです。こちらについては、がんの温熱療法のところでお話ししたいと思っています。

私は少なくとも、身体を温めることは健康において何らかのプラスの効果があると信じています。

冷たい飲み物は飲まないようにしましょう

上でお話ししたように、体温が下がると血管は収縮します。

体温を下げないためには冷たい飲料は避ける方がよいでしょう。
最近はコンビニエンスストアでも「常温の水あります」、というポスターをよく見るようになりました。冷たくない飲料を求めている人が増えているようです。
冷えた飲料は特に暑いときなどはすっきりと心地よいのですが、お腹の中に入ると体温を下げます。飲み物はできるだけ温かいものを選んで下さい。

夏には冷房が冷えすぎるほど効いている場所が多くなっています。常に羽織るものを持ち、必要以上に身体が冷えないようにしましょう。また、お風呂はシャワーだけで済ますことなく、しっかり湯船につかって温まりましょう。冬場のお風呂は入浴剤などを用いるのも効果的です。

血液循環を促進する食材

日々これらのスパイスを摂るようにしましょう。

ヒハツ(沖縄の島コショウ) 1日1~2g
しょうが
シナモン
ウコン

 

コラム ブレスローの7つの健康習慣

ここで、健康のための7つ生活習慣をご紹介しておきましょう。これは米国のブレスローという医学者が提唱したもので、今までに多くの研究から7つを守っていれば確実に生活習慣病をかなりの確率で予防でき、寿命を延ばすことができると言われています。

ブレスローの7つの健康習慣

1. タバコを吸わない
2. 定期的に運動をする
3. お酒は適量か飲まない
4. 1日7〜8時間の睡眠
5. 適正体重を維持する
6. 朝食を食べる
7. 間食をしない

すべてのことを一度に始めるのは大変ですが、できるところから一つずつ頑張ってみてください。