- 投稿日
- 2019年3月11日
- 更新日
キレる子ども(大人も)の栄養療法 しっかりご飯を食べればこころが安定 糖質は麻薬 精神疾患の原因
お腹が空くとイライラします 「飢餓マウスは気が立っている?」
医学部の3年生のときに、生化学の講義で実験がありました。
恥ずかしながら実験の目的をしっかり覚えていないのですが、どれくらいかの期間絶食させたマウスを使った実験でした。おそらく1週間くらいだったかと思いますが、餌を与えられていないマウスの肝臓における変化を見る、という実験だったように記憶しています。絶食させたマウスを先生が「飢餓マウス」と呼んでいました。
はじめにケージに手を入れて飢餓マウスを取り出すときに、咬みつかれてしまった同級生がいました。マウスの歯は小さくても結構鋭くて血が出ました。
そこで、私は何気なく
「飢餓マウスは気が立ってるから気を付けないと」
と言ったところ、すごいダジャレだ、と大受けしてしまいました。
先生までが大笑いでした。
意図したことではなかったので、そんなに笑われて困ってしまいましたが、私としては、本当にマウスがみな、イライラしているように感じて、つかむのに抵抗があったのでした。マウスもお腹が空いていれば落ち着かずにいらいらするのは当たり前のことですよね。
絶食させる実験なんて、なんとかわいそうなことをしたのでしょう。。。
私たちもみな疲れてお腹が空くと少なからずいらいらします。そういうときに美味しいごはんにありつくと、一気に元気になって機嫌が良くなる経験は誰でもが経験していることでしょう。
これは食事と気分についての短期的な話でしたが、栄養と精神状態は密接に関係していることが多くの研究からわかっています。
栄養状態と精神の関係 こころの健康は栄養が作る
こころの健康は栄養によって作られます。
認知、感情、行動などさまざまな機能に関与する神経伝達物質について、それらがどのような栄養素によって作られるかということがすでに明らかになっています。
また、多くの研究者が、栄養問題と問題行動との関係があることを確認しています。
子どものこころの安定と栄養
食事をきちんと食べている子は精神的にも落ち着いています。
そしてご飯を食べていない子、ファーストフードやインスタント食品、コンビニ弁当や菓子パン、スナック菓子ばかり食べている子どもはキレる子になるといわれています。
たとえば、3歳の際に栄養失調だった子どもについてその後の行動を経過観察した研究(1)では、栄養状態が正常であった子どもと比較して、8歳でより攻撃的であり、多動を認め、11歳ではより多くの問題行動と多動を認めました。栄養失調の程度と症状に量反応関係(栄養状態が悪いほど、症状が重い)が認められ、IQについても栄養との関係が示唆されたのです。
栄養失調は神経・認知障害の原因となり、問題行動として表れることがわかったのです。ですから、適切な栄養摂取によって、反社会的、暴力的、攻撃的な行動を減らすことができると思われるのです。
発達研究においても、発達の初期段階において栄養状態が悪いと行動への影響をもたらす可能性があることが示されています。母親の妊娠時の栄養もとても大切なのです。
また、小児期の食料についての不安と飢餓は、衝動の制御や暴力などの問題と関係が深いことがわかっています。
飢餓と暴力の関連性に関する疫学的研究(2)では、18歳以上の米国居住者を対象とした全国アルコール疫学調査(NESARC)のデータ解析が行われました。小児期に頻繁に飢餓を経験した者は、著しく大きな衝動性、自制心の低さ、対人的暴力の問題を持つことがわかりました。この結果は、犯罪と暴力に衝動制御が大きくかかわっていて、食事を改善することで犯罪を防ぐことができる可能性を示しています。
ω3などのサプリメントについての研究では、子どもの攻撃的な行動を減らすことが出来ると同時に親の問題行動も減少する可能性が示されています(3)。
大人のこころの安定と栄養
オランダの若い囚人における研究(4)では、サプリメントの投与によって、問題行動が減ることが示されました。栄養補助食品による食事の改善は攻撃性、規則を破るなどの反社会的行動が減少したそうです。
糖質の摂取
食品添加物の摂取
食物不耐症(食物を分解する酵素の欠損や、食物中の化学物質を処理できないため消化不良となって起る症状)
ミネラル不足
脂肪酸不足
インスリンにより引き起こされる低血糖症
などが
暴力、反社会的行動および犯罪
の素因となると考えられています(5,6)。
成人においても、気分障害(うつ病)おける栄養素摂取と精神機能との関係を調査し、
良好な栄養素摂取は良い精神的健康につながることが示されています(7)。
うつは食事とサプリメントで治ることは私も実感しています。
今や、こころの健康は栄養が作ることは常識となってきています。
糖質は麻薬 糖質過剰摂取による低血糖症について アドレノクロム
糖質は依存症を引き起こします。食べれば食べるほどもっと食べたくなって、とまらなくなります。薬物よりも恐ろしい依存症になるという人もいるほどです。
なぜなら糖質を摂ると、脳内でエンドルフィンが出るからです。
エンドルフィンとは、「胎内で作られるモルヒネ」という意味です。麻薬のような快感を覚えるのです。糖質、甘いものを食べずにはいられなくなってしまいます。
さらに、低血糖症が起きて、多彩な症状を引き起こします。
低血糖症が起きる仕組み
糖質を過剰摂取すると
→血糖値が急激に上昇
→インスリンの分泌促進
→低血糖
→アドレナリン分泌
→アドレノクロム上昇
という反応が起きます。
アドレナリンが増え、さらにアドレノクロムが産生されるのです。
アドレナリン
アドレナリンは血糖値を上げるホルモンです。
低血糖となると血糖値を上げようとして副腎からのアドレナリンの分泌が増えます。
アドレナリンは、攻撃的な感情(怒り、敵意、暴力)を引き起こすため、攻撃ホルモンとも呼ばれています。
そして、ストレスにさらされると、アドレナリンが酸化されて、アドレノクロムとなります。
チロシン → ドーパミン → ノルアドレナリン 酸化 → アドレナリン 酸化 → アドレノクロム
アドレノクロム
アドレノクロムは幻聴、幻覚を引き起こします。アドレノクロムは体内でメスカリンと同様の作用を持つのです。メスカリンは幻覚剤で、日本では麻薬指定となっています。
統合失調症には脆弱性ストレスモデルという発症説(もともとが精神的に弱い素因を持っている人が強いストレスにさらされることが発症の引き金となる)があります。
ストレスにさらされてアドレノクロムが大量に合成されると、統合失調症を発症するということになるのです。
ホッファー博士は統合失調症、うつ病の原因がアドレノクロムである、というアドレノクロム仮説を唱え、アドレナリンの酸化を防止する作用を持つナイアシン(ビタミンB3)大量療法によって治療を行いました。その効果は絶大なものでした。
低血糖症の症状
不安、イライラ感、睡眠障害、うつ、頭痛、動悸、めまい、手足の冷え、しびれ、冷や汗、ふるえ、疲労感、肩こり、筋肉痛、関節痛、空腹感、消化不良、肥満、恐怖感、集中力低下、暴力的発作、非社会的行動、自殺企図
驚いてしまうのですが、糖質は過剰に摂取するほど、血糖値が急激に下がる低血糖症を引き起こします。
普通は、糖を摂れば、血糖値が上がると考えますよね?
ですが、逆なのです。
そして、身体とこころにいろいろな不調が出てしまうのです。
糖質の摂取を控えるだけで急激に体調が良くなる人がたくさんいます。
糖質制限はこころと身体の健康のためには絶対に必要なのです。
こころの不調は栄養で治しましょう
落ち着かない子どもを小児精神科に連れて行って、薬を飲ませても根本的な解決にはつながりません。
神経伝達物質を作り上げている栄養素を摂らなければ、それらが足りないために出ている症状を改善することができないのです。
子どもにはタンパク質、脂肪たっぷりの温かいご飯をたくさん食べさせましょう。白米は糖質ですから控え目にしなければいけません。
キレる子、落ち着かない子になるのを防ぎ、頭が良い子どもにするために、脳のためのサプリメントものませましょう。
子どもの頭がよくなる栄養療法については、こちらをご覧ください。
うつ病、パニック障害、統合失調症などの精神障害も栄養不足が原因となります。栄養療法で治ったり、服薬を大幅に減らすことができるのです。
うつ病の栄養療法については、こちらをご覧ください。
(1) Liu J et al. Malnutrition at age 3 years and externalizing behavior problems at ages 8, 11, and 17 years.Am J Psychiatry. 2004 Nov;161(11):2005-13.
(2) Vaughn MG. et al. Childhood Reports of Food Neglect and Impulse Control Problems and Violence in Adulthood. Int J Environ Res Public Health. 2016 Mar 30;13(4):389. doi: 10.3390/ijerph13040389.
(3)Raine A et al. Nutritional supplementation to reduce child aggression: a randomized, stratified, single-blind, factorial trial.J Child Psychol Psychiatry. 2016 Sep;57(9):1038-46. doi: 10.1111/jcpp.12565. Epub 2016 May 11.
(4)Zaalberg, A., Nijman, H., Bulten, E., Stroosma, L., & van der Staak, C. Effects of nutritional supplements on aggression, rule-breaking, and psychopathology among young adult prisoners. Aggressive Behavior, 2010 Mar-Apr;36(2):117-26. 35, 1–10.2010
(5)Rodríguez, J.R., González, M.J., & Miranda, J. (2008). Deficiencias nutricionales y comportamientos inadaptados: un posible nuevo paradigma para la prevención de conductas agresivas. Psicología y Salud, 18(2), 199-206.
(6)Benton, D. (2007). The impact of diet on anti-social, violent and criminal behavior. Neuroscience and Biobehavioural Reviews (In Press). doi:10.1016/j.neubiorev.2007.02.002
(7)Davidson, K.M., Kaplan, B.J. (2012). Nutrient intakes are correlated with overall psychiatric functioning in adults with mood disorders. The Canadian Journal of Psychiatry, 57(2), 85-92.