- 投稿日
- 2018年12月2日
- 更新日
栄養療法を知らない医師の現状
栄養療法は医師に知られていません
栄養医学は医学ではないという謂れのない批判を浴び続けてきました。患者さんは、主治医に栄養療法の話をすると、むげに却下されることが少なくありません。これは、現状では仕方ないことです。医学部において栄養医学の講座はありませんから、医学生が栄養療法について勉強する機会が与えられていないのです。
私も、知り合いの医師に栄養療法の話をすると、皆怪訝そうな顔で、
「なに、その怪しい治療法は?」
といいます。皆、知識を持っていないのです。現在の医学会において、栄養療法を行う医師は、異端児とみなされます。私はある場所で、栄養療法を専門とすると発言したところ、
「いよいよ先生もダークサイドに堕ちていくんですね」
と言われました。。。
栄養療法への圧力
不思議なことに、医学界では栄養療法が広まらないように、様々な圧力がどこからかかけられているのです。これは世界中でみられる現象です。
たとえば医学系論文の検索エンジンであるPubMedにはオーソモレキュラー医学会の学会誌(Journal of orthomolecular medicine : official journal of the Academy of Orthomolecular Medicine)は検索に載らない(アクセスを制限する)ようになっています。
実際にPubMedのサイトで検索してみると、オーソモレキュラー医学会誌は雑誌名での登録はされているものの、論文については、たった3件しか検索にあがってきません(2018年12月現在)①②③。その3件はすべてプエルトリコ大学公衆衛生学のゴンザレス氏が著者であるものです。むしろ、それらの論文が登録されていることのほうが驚きです。何か手違いがあったとしか思えません。
PubMedに掲載しないということは、言論の自由、科学の正当性を妨害していることに他なりません。ここまでしてオーソモレキュラー学会誌を除外しようとしていることは隠された強い力の存在を意味しているのでしょう。
恐らく、それは製薬業界の力です。製薬は、各種業界の中でも最も大きい金額を動かす産業界のトップリーダーです。政治とも強い関係を持っています。”ビタミンごとき”でがんを始めとするあらゆる病気が治ったり、改善したりすると高い開発費をかけて作り上げた薬が売れなくなってしまいます。
しかもビタミン剤は処方箋なく誰でも買うことができます。しかもとても安いお値段で。こんなことになれば医師の需要も減ってしまいます。国を支える優良な産業の保護のために何らかの力が動いていると考えるのが妥当だと言われています。
ですから、ビタミンCの高濃度療法についても、意図的に、「効かない」という研究を米国の有名な某クリニックで同じ医師が繰り返し行ったということが栄養医学の業界では伝説としてよく知られているのです⑨⑩⑪。
栄養療法の台頭
けれども、そんな圧力をよそに、近年では多くの学者が栄養療法についての研究を行い、論文を発表するようになってきました。ですからPubMedにも多くの有用な論文が掲載されています。もちろん、アンチ栄養療法の論文も多いのですが、一つの栄養素について何百、何千、場合によっては何万もの論文を見渡せば、それが有用であるかどうかは明らかとなります。
例えばビタミンCについて言えば、この数年の間にその研究成果が最高峰の雑誌であるNature、Science, Cell, Cancer Cellなどに続々と発表されています④⑤⑥⑦⑧。
このような状況の中で今後、もはや医師たちは今までのように
「栄養療法について知らない」
「そんな治療は嘘っぱちで効果はありません」
などと言えなくなり、栄養療法を無視できなくなるでしょう。今や患者さんの方が知識がある場合が多いのです。これからの医師は栄養療法を勉強しなければいけません。
オーソモレキュラー学会誌について
オーソモレキュラー学会誌には栄養療法についての非常に豊かで価値のある情報が掲載されています。喜ばしいことにこの雑誌はフリーアクセスで、学会のサイトで誰でも読むことができます。英語ですが、サイトに行って、右クリックをして「日本語に翻訳」を選択すれば、日本語になりますのでおおまかな内容はつかむことができます。
また、日本のオーソモレキュラー学会が主なものについて翻訳して掲載していますし、引用を明らかにすれば全文をコピーして掲載することが許されています。私もご紹介していきたいと考えています。
是非、ご自分で栄養療法についてお勉強してください。そして、ご自身の健康を自分の力で守って行ってください。
参考文献
①Gonzalez MJ et al. Mitochondria, Energy and Cancer: The Relationship with Ascorbic Acid. J Orthonol Med 25(1):29-38 2010
②Gonzalez MJ et al. Schedule Dependence in Cancer Therapy: Intravenous Vitamin C and the Systemic Saturation Hypothesis.
J Orthonol Med 27(1):9-12 2010
③Gonzalez MJ et al. High Dose Intraveneous Vitamin C and Chikungunya Fever: A Case Report. J Orthonol Med. 29(4):154-156.
④Agathocleous M, Meacham CE, Burgess RJ, et al. Ascorbate regulates haematopoietic stem cell function and leukaemogenesis. Nature. 2017; 549:476-481.
⑤ Yun J, Mullarkv E, Lu C, et al. Vitamin C selectively kills KRAS and BRAF mutant colorectal cancer cells by targeting GAPDH. Science. 2015; 350(6266):1391-6.
⑥Cimmino L, Dolgalev L, Wang Y, et al. Restoration of TET2 Function Blocks Aberrant Self-Renewal and Leukemia Progression. Cell. 2017; 170(6): 1079-1095.
⑦ Cimmino L, Dogalev I, wang Y, et al. Restoration of TET2 Function Blocks Aberrant Self-Renewal and Leukemia Progression. Cell. 2017; 170(6):1079-1095.
⑧ Schoenfeld JD, Sibenaller ZA, Mapuskar KA, et al. O2 ,– and H2O2-Mediated Disrupion of Fe Metabolism Causes the Differential Susceptibility of NSCLC and GBM Cancer Cells to Pharmacological Ascorbate. Cancer Cell. 2017; 31(4): 487-500.
⑨ Creagan ET, Moertel CG, et al. Failure of high-dose vitamin C(ascorbic acid) therapy to benefit patients with advanced cancer. A controlled trial. NEJM 1979 301(13)687-90
⑩ Creagan ET, Moertel C. Vitamin C therapy of advanced cancer. NEJM 1979 301(25):1399
⑪ Moertel CG, Fleming TR, Creagan ET, et.al. High-dose vitamin C versus placebo in the treatment of patients with advanced cancer who have had no prior chemotherapy. A randomized double-blind comparison. NEJM 1985 312(3):137-41