宮川路子の水素栄養療法

主治医が教えてくれない水素・栄養療法の話   うつ、がん、アンチエイジング

加齢性黄斑変性症の栄養療法


加齢性黄斑変性症とは

加齢性黄斑変性症(AMD)は高齢化に伴って年々患者数が増加しています。AMDの好発年齢は75歳以上、発症のピークは男性で80歳~84歳、女性で75歳~89歳です。。日本における患者数の推計は約70万人と言われています。過去10年間で2倍以上増加しているといわれており、中途失明の原因の第4位となっています。

視野の中心部分が欠けてしまったり、ものが歪んで見えるなどの症状が出る病気です。視覚はすべての感覚の中で最も重要なものですからAMDになると生活の質が著しく低下します。外出できなくなってうつ状態に陥る人も少なくありません。

発症に気づかない人が多いのですが、簡単な確認方法は、片目を手で隠して、片目ずつ物の見え方を確認します。
方眼紙のようにマス目が描かれた紙を見て、見えない場所がないか、歪みがないかをチェックしてください。
 
発症原因は不明ですが、老化が関係していると言われています。網膜色素上皮の下に老廃物が蓄積することによるのではないかと考えられています。高血圧、喫煙、栄養不足、心血管疾患、テレビ、パソコンの光などが影響するとも推測されています。

加齢性黄斑変性症の治療と予防

 
治療法は、あまり効果のあるものはありません。滲出型加齢黄斑変性の場合は、薬を静脈注入したり、レーザー照射によって新生血管の広がりを抑えるという光線理学療法、新生血管の発生を抑える薬を注射する薬物療法、新生血管を焼いて破壊するレーザー凝固法などがあります最近ではiPS細胞を用いた網膜色素上皮シートの移植手術の臨床治験が行われています。

予防としては、喫煙しないこと、サングラス着用で紫外線を防ぐこと、βカロテンを含む緑黄色野菜をたくさん食べること、亜鉛などのミネラルをしっかり摂ることが推奨されています。

国立衛生研究所の加齢関連眼疾患研究

国立衛生研究所(NIH)が米国11カ所の眼科専門病院で55歳から80歳の3600人を対象にサプリメント服用効果について6年間の調査を実施しました。加齢性黄斑変性症と白内障についての研究で、これが論文発表されています(加齢による眼疾患についての研究。AREDs)。

この研究によると、中程度のAMD患者が、

ビタミンC500mg
ビタミンE400IU
βカロチン15mg
亜鉛80mg
銅2mg

を毎日服用すると症状の進行を約25%抑えることができるということだそうです。
けれども、このサプリメントの効果は進行を遅らせるだけで完治することはできません。そして予防についてはまだ未知数ですが、すでに全世界でこの容量のサプリメントが売り出されています。
また、追加の研究でルテインとゼアキサンチンはβカロチンの代わりとなるということが明らかになっています。
白内障については、有意な結果は得られていません。

抗酸化サプリメントと、ミネラルが加齢性黄斑変性症の進行抑制と予防に効果があるということになりますので、これらのサプリメントを摂ることは眼の健康を守るためにも重要であると考えられます。

参考文献

① Age-Related Eye Disease Study Research Group. A randomized, placebo-controlled, clinical trial of high-dose supplementation with vitamins C and E, beta carotene, and zinc for age-related macular degeneration and vision loss: AREDS report no. 8. Arch Ophthalmol. 119(10):1417-36. 2001
② Age-Related Eye Disease Study Research Group. A randomized, placebo-controlled, clinical trial of high-dose supplementation with vitamins C and E, beta carotene, and zinc for age-related macular degeneration and vision loss: AREDS report no. 9. Arch Ophthalmol. 119(10):1439-52. 2001