宮川路子の水素栄養療法

主治医が教えてくれない水素・栄養療法の話   うつ、がん、アンチエイジング

お掃除健康法 身体もこころもリフレッシュ うつ病の改善に 


掃除のすすめ

掃除ほど健康に良いことはありません。
掃除をするのと、じっと座ってお菓子を食べたりネットサーフィンをしたりするのでは、健康度が天と地ほど変わってきます。

思い浮かべてみてください。
これから、お風呂の掃除をすることにしましょう。
普通はバスタブをちゃちゃっと洗って終わりにしているかもしれません。けれど、お風呂の掃除は隅々まで、バスタブだけではなく、天井、壁、洗い場、水道栓、シャワーホース、棚、排水溝そしてバスタブカバーまでかなり幅広いのです。

「年末の大掃除でもないのに、そんなに時間をかけていられないよ。」
とぼやきたくなりますか?
そういう方も多いでしょう。でも、考えてみてください。

あなたは運動をしていますか?
運動する時間がないと思っていませんか?
運動をするためにお金を出してジムに通ったりしていませんか?
運動をするためには、ウエアを来て、ランニングシューズをそろえて、ランニングに出かけたりしなければいけないと思っていませんか?

もしあなたがこのように考えているのなら、なかなか運動をするという行動に移れないことでしょう。
運動についてそんなに堅苦しく考えないでください。それよりもまず、掃除をしてください。

掃除は効率の良い運動です

実はお掃除は運動なのです。

一生懸命やればかなりの運動量になります。
ゴシゴシ磨いたり、上に背のびしたり、しゃがんだり。健康のためと思えばきびきびスタスタ行動できます。
ジムに払うお金も節約できます。
ガラス窓など、キュッキュと磨くと汗が吹き出てきます。洗面所の鏡もピカピカにしましょう。トイレ掃除も大切です。
運動しながらおうちも綺麗になり一石二鳥です。

そして、家が綺麗になれば、時間が生まれます。
整理整頓されていると、探し物をするような時間もなくなります。時間はお金です。なによりも貴重な資源です。時間が産まれれば、いろいろなことができます。おうちがきれいになると、心も穏やかに落ち着きますし、あなたがご家族とお住まいなら、皆が喜んで幸せになります。一石二鳥どころではありません。

米国の身体活動ガイドライン

米国保健福祉省(HHS)の最新の「身体活動ガイドライン」が2018年11月に発表になりました。これによると、

運動はどんなにちょっとしたことでもよい

ということになっています。
理想的には、前回の2008年度のガイドラインと同様、成人は1週間にランニングなどのアクティブな有酸素運動75分間、早歩きなどの適度な有酸素運動150分間に加え、筋肉強化の運動を2回は行うことが推奨されていますが、これはちょっとハードルが高いですよね。

また、前回のガイドラインでは10分以上継続した運動でなければ効果がないとされていましたが、今回は、少しずつ、ちょっとした細切れの運動でも効果があるということが追加されました。
階段の上り下り、掃除(なんと、ここに掃除が入っていました!)、ちょっと遠くの駐車場を選んで少しでも長く歩くことなど、ちょこちょこと動くことが大切なのです。

つまり、少しでも座りっぱなしの時間を少なくして動きましょうということです。
指針では次のような簡単な説明がなされています。

「Move more and sit less throughout the day.
Some physical activity is better than none.」
(一日を通して、より動いて、座るのを減らしましょう。
ちょっとした運動でもまったく動かないより良いのです。)

毎日掃除で運動しましょう!

掃除のちょこちょこ動きによって、単に身体の健康だけでなく、認知機能、精神的健康、睡眠の質の改善などが得られます。ちょこちょこ動いていれば、精神的健康と長寿を手に入れることができるようになるでしょう。

お掃除はこころの整理整頓

身体の健康のためにはちょこちょこお掃除をして動くことが効果的です。そして、部屋がきれいになれば、こころも落ち着くのです。
ホテルに泊まると、美しく落ち着いた空間に非日常を感じます。狭い部屋でも綺麗で物が無ければホテルのような場所になるのです。リラックスして、ほっと癒しの空間となることでしょう。

うつの治療にもお掃除

実はこのお掃除健康法は、私がいつもうつ病の患者さんにおすすしていることです。

「何もやる気が起きません」と家にこもっている人が、少しでも何かできるようになったときに、何をやればよいのかと相談されます。
精神科としては、運動、散歩、図書館に行って本を読む、買い物に行く、友達と会う、あたりをお勧めするのが一般的です。
もちろん、これらの行動もできるようになれば相当状態がよくなっている証拠ですし、さらにいろいろ活動することによってより回復が見込めるのです。

けれども私はまずは外に出るのではなく、
「家の掃除をしてみてください」
とおすすめするのです。

「掃除ですか?」

と怪訝な顔をされることも多くあります。が、真面目に
「はい、あなたのお部屋の掃除をしてください」
と答えます。

掃除できた人は確実にこころの状態が良くなります。
そして、お部屋や家が綺麗になるとリラックスできるようになってこころが落ち着き、ストレスがなくなるのでより回復が早くなります。
掃除出来たかどうかは回復度の判定にも役立つと私は感じています。

こころを病んでいる人で、お部屋が綺麗に片付いている人はほとんどいません。

例外は、拒食症の人です。今までに、何人も拒食症の方とお話ししてきましたが、ものすごく綺麗好きで掃除も完璧。もちろん、オフィスの机もきっちり片付いています。

ですが、その他の精神疾患の人ではほとんど家がごちゃごちゃしています。もちろん、見に行ったわけではなく、ご本人から伺っただけですけれど。

うつ病の女性の例  タンパク質・鉄不足を解消して部屋もきれいに

あるうつ病の女性は、家がごみ屋敷のようだと話をしていました。

何もする気になれないので、コンビニでお弁当を買って帰り、それを食べるとそのままごみをその辺に放置してしまうことが続いていました。不思議なことに、ごみがたまればたまるほど、なんでもなくなってくるのだそうです。

普通であれば、我慢でいないような状況になってもそれが何ともないのですから、やはりこころを病んでいるのだと感じます。それだけ何かに追い詰められている状況なのでしょう。
そして、片付けようと思っても身体が動きません。何から手を付けてよいのかわからなくなってしまっていました。

私は彼女に
「1日にごみ袋に少しずつでもよいので、散らばっているものを入れてみましょう」
と提案しました。

彼女はそれも出来ませんでした。頭ではやらくてはと思っていても、どうしても身体が動かないのだそうです。
お風呂も入れない日があるようでした。

そこでまずは、プロテインを飲んでもらうことにしたのです。
元気が出ない、エネルギーが足りない状態ですから、本当は鉄材やビタミン剤も必要なのですが、一度に飲もうと思っても飲めない状態です。
薬はのどにひっかかるから飲めないと話していました。
「のどになにかがつかえているような気がする」という症状はよくみられます。
これも栄養不足の典型的な症状です。

薬が飲めない人は鉄不足です

喉頭部の違和感はストレスによるうつ症状などに付随してよくみられます。
咽喉頭異常感症という診断名がつけられることが多いものです。

これはのどの周辺に何らかの違和感や不快感がある状態です。
症状は人によって違いがみられ、「のどに何かがつかえている」ようだという訴えが最も多いのですが、「圧迫感」や「ひりひり、イガイガ」するということもあります。
「耳鼻咽喉科」で検査をしても何も原因となるような病気がみつからないときは、精神的なものでしょうという判断になるのです。
咽喉頭異常感症はヒステリー球とも呼ばれています。

実は、こういう方は鉄不足があるために、のどや食道のあたりの筋肉が痙攣して、何かがつまっているような感覚が生じ、ものが飲み込みにくくなってしまうのです。

また、鉄不足によって粘膜が弱くなって障害を受け、修復されても変形が残ってひきつれてしまうことが原因となる場合もあるようです。

これらの症状が鉄の不足により起こることはあまり知られていません。

若い女性に多いということで、貧血が陰にかくれていることが多いのです。
痙攣が貧血によって起こることは、乳幼児の憤怒痙攣でも確認されています。

コラム 乳幼児の憤怒痙攣(ふんどけいれん)、夜泣きも鉄不足から

乳幼児の貧血は見落とされがちですが、2割~3割にみられます。

憤怒痙攣(泣き入りひきつけ)とは、乳幼児が激しく泣いた後に呼吸が停止し,顔色が悪くなって意識を消失し,痙攣を起こす疾患です。けいれんの持続時間は短く1分以内のことが多いのですが、発作があると何が起きたかと慌てて救急車を呼ぶことも多いのです。

憤怒痙攣は,生後6カ月から1歳までに起こるものが多く、3歳くらいまでにおさまります。
乳幼児の4-5%程度にみられる比較的多いものです.
激しく泣くことによって無呼吸になり,一過性の脳虚血状態に陥り、意識を消失します。

憤怒痙攣に対する治療として鉄剤が非常に有効であることが最近明らかになって来ました.

鉄剤の投与を開始して1か月~4か月後には,その多くが改善すると報告されています。
鉄欠乏性貧血がある場合にはそのほとんどが、鉄欠乏性貧血を認めない場合でも約半数の症例において,痙攣発作が改善すると言われています。

鉄剤の投与はヘモグロビンの値ではなく、フェリチンが改善するまで必要となります。これは、大人の精神疾患の治療でも必要なことですね。

鉄はセロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質の合成に不可欠です。貧血があるとこれらが不足し、自律神経の異常、神経症状が出現します。

乳幼児の貧血は見逃されやすく、易刺激性のため夜泣きなどが続いていても治療されないケースが多いものです。
憤怒痙攣は痙攣が原因で、貧血が背景にあり、鉄剤投与で改善することを理解しておいてください。

パニック発作、咽喉頭異常感症も鉄不足で起きます

この乳幼児の憤怒痙攣を知っていると、ヒステリー球、パニック発作も鉄不足による筋肉のけいれんから起きることを理解することができるでしょう。
パニック発作は息が止まりそうになって、呼吸困難になるのですから、のどから気管にかけての筋肉、あるいは胸部の筋肉のけいれんによって起こると考えることができます。

運動をして筋肉がつるのはマグネシウムなどのミネラル不足だということは多くの人が知っていますが、パニック発作が筋肉のけいれんだと知っている人は少ないのです。

対策としては、タンパク質摂取から始めて、鉄、マグネシウム、ビタミンB群、ビタミンCなどを追加していきます。

掃除ができなかったうつ病の女性はタンパク質、鉄を飲んで少しずつ元気になり、部屋を片付けることができるようになりました。
部屋が片付くと、精神的に落ち着いて明るくなり、料理をしようかという気持ちも出てきました。
こうなればどんどん良い方向に進みます。
「先生にお風呂を見せてあげたいです!」
と嬉しそうに言われました。
お風呂をピカピカに磨いて、アロマを入れてゆったりと半身浴をしながら読書をするのが楽しみなのだそうです。
「リラックスできますよ~!」
とのことでした。

こころの健康のために整理整頓をしましょう

私は、部屋を片付けることのこころの治療効果を実感していますので、掃除だけでなく、
「物を捨てましょう」
というご提案もしています。

物がなく、すっきりと美しいお部屋に帰ればリラックスできます。

しかも、物を捨てると、余計な買い物をしなくなり、お金もたまります。自分が捨てたものを思い出すと、少々のものは必要ないと思えるようになります。

前述しましたが、
物が少ないと、探し物をすることがなくなります。
物が少ないと、物にふりまわされることがなくなり、ストレスが減りますから、よりこころが安定するのです。

この世の中で一番価値があるのは時間です。物が少なく、きれいに整ったお部屋は多くの時間を生み出します。

あなたのこころと身体の健康のために、ぜひ毎日掃除をしましょう!
身体には栄養をたっぷりと補充してください。
そして、豊かな人生を手に入れてください。