- 投稿日
- 2018年11月29日
- 更新日
人工甘味料は身体に悪い
人工甘味料で腸内細菌バランスが崩れ代謝異常に
サッカリンやアスパルテームなどの人工甘味料は清涼飲料水、お菓子、加工食品など幅広く使用されています。肥満を気にする人はカロリーゼロの清涼飲料水をよく飲む傾向がありますが、実は人工甘味料を摂取すると逆にさらに肥満となり、糖尿病になりやすいなど、危険を伴うことなってしまいます。
人工甘味料は腸内細菌のバランスを崩して血糖値を下げにくくする作用があることがわかっているのです。
2014年にネイチャーに掲載されたイスラエルの研究(1)では、人工甘味料を多く摂取する人は摂取しない人に比べて体重、ウエスト周囲径の増加、耐糖能障害、血糖値上昇などが生じることがわかりました。摂取量が多いと消化、代謝に関係している腸内細菌のバランスが崩れることが原因となるのです。これに関係した論文はいくつも発表されています(2,3)。
肥満や糖尿病などの病気にならないようにするために開発された人工甘味料が逆にその病気の原因となるということを知っている人はあまりいません。なぜなら、腸内細菌は免疫機能と密接に関係しているからです(4)。
さらに、甘味は依存症となるため、どうしても甘い物を食べたいという欲求が生じてしまうのですが、砂糖、人工甘味料、高果糖コーンシロップなど、すべてできるだけ摂取しないようにしましょう。
人工甘味料とがんの関係について
サッカリンやアスパルテームなどの人工甘味料が発がん性を持つということは昔から言われており、マスコミでも騒がれています。実際にラットを用いた実験で、サッカリンは膀胱癌、アスパルテームは脳腫瘍のリスクを上昇させるという報告があります。サルやヒトにおける研究でははっきりとした発がん性の証拠を認めていませんが、中には多量の消費がヒトにおいて膀胱がんの相対危険度を1.3に上昇させるとする研究もあります(5)。
人工甘味料の毒性については、現在私たちが、”自分たちの身体で実験中”という状態にあると思います。
また人工甘味料は多種が組み合わされて加工食品に含まれているため、単独の影響を見ただけでは本当のリスクをはかることはできないと思われます。そして、新世代の甘味料(アセスルファムカリウム、スクラロース、シクラメート、アリテーム、ステビアなど)につては、まだ発がん性についての確固たる証拠がないため、はっきりとしたことは言えないのが現状です(6)。
ステビアについて
ステビアは天然成分からなる甘味料ということで、他の人工甘味料に比べると体に良いというイメージが持たれています。このため、近年、清涼飲料水やヨーグルト、醤油、味噌など甘みを必要とする多くの食品に使われるようになりました。また魚介類の加工食品や漬物などにも入れられています。さらに、甘いけれど虫歯になりにくいという触れ込みで、飴やガム、歯磨き粉にも利用されています。
ただし、健康に与える影響についてはデータが不十分であるため、長期にわたる使用や、子ども、妊婦に対する安全性などについてはまだわかっていません。
ステビアはインスリン抵抗性を改善し、インスリン分泌を促進するとする研究結果が報告されています(7)。新井理論によると、インスリン分泌を促進するというのは良いことではありません。インスリンは細胞を障害し、がんの発症を促す猛毒なのです。くわしくは、糖尿病の治療についてをご覧ください。
私は、他の人工甘味料同様、ステビアもできるだけ摂取しないように心がけるべきであると考えています。
砂糖・人工甘味料入りの飲料と死亡率
最近、Circulationという雑誌に米国において砂糖入り飲料と人工甘味料入りの飲料を飲む量と死亡率の関係についての研究が発表されました(8)。
この研究では、甘い飲料(砂糖・人工甘味料)の摂取頻度と、各種疾患による死亡率について検討を行っています。
この研究のすごいところはその規模と調査期間の長さです。
女性については、1976年に始まった看護師を対象とした調査で、解析対象となったのは約8万人。34年間追いかけています。
男性は1986年に始まった健康専門職を対象とした調査で解析対象は3万7千人。28年間の調査です。
この間、女性は23432名が死亡し、そのうち4139名は心血管疾患、8318名はがんでした。男性は13004名が死亡し、3757名が心血管疾患、4062名ががんでした。
砂糖入りの飲料については、月1回未満の人と比較して、1日2回以上飲む人では、総死亡率は21%、心血管疾患では31%、がんは16%上昇していました。また、徐絵師の乳癌リスクが明らかに上昇し、大腸がんのリスクも増加傾向でした。
人工甘味料では、月1回未満の人と比較して、1日2回以上摂取する人では、総死亡率が7%上昇し、心血管疾患は13%リスクが上昇していましたが、がんについては関連を認めませんでした。
砂糖と人工甘味料について、摂取頻度については、長年の間に移り変わるため、中間地点での摂取頻度を採用しています。様々な研究上の制約はあるものの砂糖入り飲料の摂取が死亡のリスクを上げるということは確実のようです。人工甘味料は砂糖ほどの関係は出ていませんが、やはり死亡率は上がります。
私たちが日々口にしている(曝露している)有害物質は人工甘味料だけではありません。着色料、保存料をはじめ、各種細菌、ウイルス、大気汚染、放射線など、様々なものが組み合わさってがんが発生するわけですから、少しでも可能性のあるものは避けるというのが賢明でしょう。
人工甘味料はできるだけ口にしないようにしましょう。
参考文献
(1)Suez J. et al. Artificial sweeteners induce glucose intolerance by altering the gut microbiota. Nature 514(7521):181-6 2014
(2)Bokulich NA. et al. A bitter aftertaste: unintended effects of artificial sweeteners on the gut microbiome. Cell Metab. 20(5):701-3 2014
(3)Pearlman F. et al. The Association Between Artificial Sweeteners and Obesity. Curr Gastroenterol Rep. 19(12):64 2017
(4)種本俊、筋野智久,金井隆典. 腸内細菌叢と免疫の関わり Jpn. J. Clin. Immunol., 40 (6) 408~415 (2017)
(5)Weihrauch MR. Artificial sweeteners–do they bear a carcinogenic risk? Ann Oncol. 15(10):1460-5. 2004
(6)Duran Aguero S. et al. Noncaloric Sweeteners in Children: A Controversial Theme. Biomed Res Int. 2018:4806534. 2018
(7)Mohd-Radzman N. H. et al .Potential Roles of Stevia rebaudiana Bertoni in Abrogating Insulin Resistance and Diabetes: A Review. Evid Based Complement Alternat Med. 2013; 2013: 718049. doi: 10.1155/2013/718049
(8) Malik VS et al. Long-Term Consumption of Sugar-Sweetened and Artificially Sweetened Beverages and Risk of Mortality in US Adults. Circulation. 2019 Mar 18. doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.118.037401. [Epub ahead of print]