宮川路子の水素栄養療法

主治医が教えてくれない水素・栄養療法の話   うつ、がん、アンチエイジング

こころと身体のケアのための美容医療・アンチエイジング 健康な人は見た目が若い

アンチエイジング、美容医療というと、

「そんな、見た目のことを気にするなんて」
「私は年相応でいいの、無理に若く見せようと思わないわ」
「男だから、アンチエイジングなんて言っていられないよ」

という方が多いと思います。

ですが、見た目は決してうわべだけのことではありません。
見た目を若々しく保つことは人生においてとても大切なことなのです。

米国ではエグゼクティブはみな肌つやがよく、いきいきとしていて見るからに健康そのものである人が多いと言われています。
若々しさは健康の象徴です。
健康管理はまさに自己管理がしっかりとできていなければいけませんから、エグゼクティブになるための条件とも言えるのでしょう。
日本では会社の偉い人がタバコを吸っていたり、肥満であったりすることが多いのですが、米国ではほとんどみられません。日本でもだんだんと同じようになっていくものと思われます。
性別は関係なく、見た目をきちんと若く保つ努力が必要なのです。

そして、見た目の若々しさは身体の若さ、内臓の若さと関係しています。

若々しさは、しわがない、というようなことではありません。大切なのは主に肌のつやと張りです。
しわは、笑い皺などは幸せの象徴とも言えます。これを無理矢理人工的にとるというのは間違っていると思います。

見かけが歳をとっている人は、身体の中身も元気がないということになります。
逆に言うと、いくらがんばって、いわゆる”美容医療”にお金をかけたとしても、それだけでは効果は現れません。一時的に効果が現れたとしても、またすぐにもとに戻ってしまうでしょう。

大切なのは、身体の内側を元気にすることです。

ぜひ身体の内面から若々しくなって、見た目も身体も、こころも活き活きと元気になってください。

見た目が若いと身体も健康で長生きをする

見た目の若さが身体の老化の目安となることがわかってきました。

2009年にBMJという医学誌に掲載されたデンマークの双子研究(1)では、見た目が若い双子の方が長生きする傾向にありました。また、実際の年齢よりも若く見える人は長寿の傾向を認めました。

更に、見た目が若い人は長寿遺伝子といわれるテロメアの長さが長いこともわかりました。
つまり、見た目の若さによって病気のリスクや寿命などを予想することができるというわけです。

この他にも、閉経後の女性では、皮膚の張りが骨密度(老化)と関係することなどもわかってきています(2)。
見た目の若々しさは身体の健康の象徴です。そして、見た目は身体だけでなく、こころの健康とも密接な関係を持っています。

見た目の美しさとこころの健康

女性のこころを元気にするためには、お顔をきれいにすることがとても効果的です。お顔がやつれてくると心がどーんとこころが沈んでしまうのです。
もちろん、女性だけではありません。男性も、肌にはりがあって、若々しい人はエネルギーに溢れていて、身体も健康です。成功している人にやつれ果てた人はほとんどいません。

健康でなければ、精神的にいきいきと輝くことはできないのです。

鏡を見るたびにやつれを自覚し、ふーっとため息をついてしまう人が多くいます。歳をとってしみやしわ、たるみが目立つようになるとがっくり落ち込んで悲しくなるのです。人は見た目の若さ、肌の輝きが精神を大きく左右します。
 
例えば働き過ぎの女性が、疲れて精神的に落ち込むことがありますが、そのときに肌荒れが起きたり、吹き出物ができたりすると余計にこころのダメージが大きくなって、うつ状態になってしまうのです。逆に、うつの方でもお顔のケアをして、お肌がつるつるピカピカに輝くとそれだけで、なんだかとっても元気になるものなのです。

こころの健康と見た目の若さは、どちらが原因でどちらが結果かはわかりませんが、いずれにしても強い関係を持っていることは間違いありません。

私は以前から、うつ病で落ち込んでいる女性のお肌のケアをすると症状が回復するという仮説を主張していました。

美容皮膚科の先生に、「精神科を併設してください!」、とお願いしたこともあります。実際に数例ですが、お肌が綺麗になってこころも明るくなったケースを経験しています。

コラム こころも見た目も元気になったうつ病の女性

うつで休職していた女性のケースをご紹介します。

働き詰めで、睡眠時間もかなり削ってぼろぼろになってしまった女性でした。
うつ病という診断を受け、休職をすることになりました。
とくにかく、はじめはひたすら寝ていたそうです。ご飯を食べて、そして寝る、ということを繰り返していました。

食事は、はじめは適当でしたが、徐々に糖質を制限し、タンパク質を中心に、食べるようにしてもらいました。
一人暮らしでしたから、食事はなかなか自分で作れなかったため、コンビニ食が中心でしたが、コンビニで購入するものは、ゆで卵、納豆、チーズ、鶏肉のパック、豆腐です。プロテインパウダーとビタミン類もネットで購入してもらいました。

栄養を摂り、今までになくゆっくりと睡眠をとることができるようになってしばらくすると、肌荒れ、にきびなどが治まり、お肌がきれいになってきたのです。
それまでは、基礎化粧品を買っても、化粧水やクリームをつける余裕もなく、シャワーを浴びてばたん、とベッドに倒れ込んでいました。
それが、ゆったりとクリームをつけたり、パックをしたりと自分でお手入れできる元気が出てきました。
きれいになってくると嬉しくなって、余計にいろいろやってみようという意欲がわきます。

身体に良い食事を自分で作ろう、と料理も始めました。こころも身体も軽くなって、買い物も料理も、片付けもおっくうではなくなったのでしょう。

うつ病の人にとって、「何かをやりたい!」という意欲が出てくることはとても大切で、回復の印です。

ずっと通いたいと思っていたエステサロンにも通ってみました。素晴らしいことだと思います。サロンで丁寧なお手入れを受けたことは、彼女の回復に直接的、間接的な効果があったと考えています。

直接的には、いろいろとお手入れしたことにより、肌が回復することです。そしてピカピカに輝く肌を見るとこころが軽くなります。
間接的な効果は、自分がケアをする、あるいは人から丁寧にケアを受けることによるこころのケアです。

ケアをする(してもらう)、ということは、自分を大切にする(してもらう)ことです。たとえば、お顔をマッサージすることは、肌に手を当てて、温もりをもって大切に包み込んであげることです。身体のケアをするのですが、優しい手の感覚、肌の温もり、大切にされているという気持ち、安心感などが合わさってとても大きい癒し効果が生まれるのです。

精神科や心療内科におけるカウンセリングも、気持ちに寄り添って自分の悩みを聞いてもらうということによる効果がありますが、エステサロンや美容皮膚科などでお顔のお手入れをしてもらうことはカウンセリングと同じような効果があるのです。さらに、楽しくおしゃべりしながらお手入れをしてもらうことができれば効果倍増です。相性が良い、聞き上手の施術者であれば、カウンセリング以上の効果も期待できることもあるでしょう。

ネイルサロンの効用


私は一時期、ネイルサロンに通ってケアをしてもらっていたことがあります。心地よいリラックスチェアに座り、おしゃべりをしながら手先(足先も)を美しくしてもらえるサロンはまさにストレス解消にはもってこいでした。

ネイルサロンの人気はただ単に爪をきれいにお手入れしてもらうだけのものではないでしょう。かなりのお値段を払ってもサロンに通い続ける人が多いのには理由があります。それはこのストレス社会において癒しを求めているからなのです。

リラックスできる空間で、手に触れてもらいながら丁寧にケアされること、そしてにこやかに会話を楽しむこと。。。これらはすべてこころの癒しにつながります。
人の手に触れたり、触れてもらうという行為は、親とてをつなぐ小さい子供や、恋人同士くらいで、日常生活ではあまり機会がありません。ましてや、足に触れて包み込んでもらうことなど、通常の生活では皆無といっていいでしょう。

ネイルサロンに通う方に意外と高齢の女性が多いと聞きますが、若いネイリストとおしゃべりしながら、手に触れてもらう時間を楽しみにしているのだと思います。

私は長らく、ネイルサロンは女性だけのものだと思っていました。ところが、今では男性専用のネイルサロンもあるようです。私の知り合いの男性も定期的にネイルサロンに通って爪のお手入れをしてもらっていると話していました。爪がきれいになっていると手元の印象が変わるのだそうです。もちろん、それだけではなく、サロンでのひとときも楽しんでいるようでした。

手元の身だしなみに気を遣う人ですから、健康にも気を付けていますし、見かけも若々しいことは言うまでもありません。

スキンシップと健康


実は手のふれ合い、肌と肌の触れ合いからは大きいストレス解消効果が生じます。以前私は大学で心理学の講義を担当していました。そのときに紹介していた有名な心理学のスキンシップについての研究があります。

これは、第二次世界大戦語に戦争孤児たちを対象にしてヌネ・スピッツという学者がメキシコの孤児院で行った実験です。清潔な環境下において、人間的な眼差しや温もりを排除して子供たちを育てると、子供はみな3歳になる前に亡くなってしまったという衝撃的な結果となっています。触れ合い、スキンシップは生死を分けるほどの意味を持っているのです。

優しく肌に触れ合ったり、見つめ合ったりして幸せを感じるとオキシトシンというホルモンが脳の視床下部から分泌されます。オキシトシンはギリシャ語の「早く産まれる」という言葉が語源となっており、出産や母乳保育に関連しているホルモンです。
血圧や心拍数をさげたり、ストレスホルモンを減少させてストレスを軽減する、気持ちを落ち着かせる、不安を解消する、意欲、記憶力を向上させるなど様々な効果がありますが、何よりも幸せな気持ちになれるという素晴らしいホルモンです。

実は、ペットと見つめ合ったり触れ合ってもオキシトシンが分泌されることがわかっています。

プロバイオティクスの記事でご紹介した論文(3)では、キスをするとアレルギーが改善するということが証明されました。これは、2015年にイグ・ノーベル賞の医学賞を受賞した木俣肇先生のユニークな研究です。

恋人や配偶者とキスをしたて後には、鼻や皮膚のアレルギー反応が大幅に低下するということです。
キスだけでなく、肌のぬくもりやそこから得られる安心感、優しい言葉なども、ストレスを軽減して病気を癒す効果があると考えられます。よく、可愛い可愛いと言って育てればより可愛い子になる、美しいと言って恋人や奥さんを褒めているとどんどん綺麗になるといいます。

愛情のシャワーを浴びることによって、身体もこころも健康にそして美しくなるのです。

ネイルサロン、エステサロン、美容皮膚治療は単に綺麗になる、というだけでなく、肌の触れ合いにより癒されて心が豊かに穏やかになり、幸せな気持ちになることでより一層美しくなる効果を生み出すのです。

ネイルサロンの効用はもう一つあります。美しくなった指先を見るたびに、なんと素敵なのだろうと感じて心が癒されます。人から褒めてもらわなくても、自分で自分を褒めることにもストレス解消効果があり、気持ちが明るくなるためのポイントです。

自分で自分を大事にしましょう

自分で自分を労ることも忘れてはいけません。誰も抱きしめてくれる人がいなければ、自分自身で抱きしめてみてください。エステに行かなくても、ご自分でケアをすることは簡単です。ご自分のケアはまずは栄養療法から始めてみてください。髪のつや、お肌の張りと輝きは栄養が足りないと確実に失われていきます。栄養をしっかりと摂ることが美しさ、そして若さへの第一歩となるのです。これはすべての年齢の方に共通して必要なことです。

若い方でもにきびがたくさんできてしまうと、落ち込んで髪の毛でできるだけ顔をおおったり、うつむき加減となり、人とあまり会いたくない、見られたくないとひきこもりがちになります。にきびが治ってきれいなお肌になると嘘のようにこころが晴れやかになって、お友達と遊びにでかけたりするようになるものです。

また、更年期の女性がうつ状態になって、ひきこもることがよくあります。更年期の女性の身体は女性ホルモンが減って、肌の張りや艶が失われ、しわ、たるみ、くすみ、しみが出現します。髪も抜け毛が増えてこしがなくなり、ヘアスタイルも思うようにならなくなります。首のしわ、手のしみが気になり、人に見られたくないという気持ちになるとますます落ち込みが激しくなるのです。生理も来なくなり、私は女性として終わってしまった、女性としての魅力もなくなってしまった、と精神的に参ってしまいます。

お肌の治療はこころの治療

このように落ち込んでいる女性にどのような治療が効果的でしょうか?

それは、肌を美しくすることです。眼が大きいとか、鼻が高いとかいった顔のつくりについては問題になりません。顔の造作は変えることは難しいですし、そもそも年齢を重ねてくると美しさのほとんどは肌と髪で決まると言っても過言ではありません。若いときに美人だと言われていた人が見るも無惨な歳の取り方をしていたり、逆に若いときはまったく目立たない顔だった人がふっくらとお上品な美しさを醸し出しているというようなことはよくあるものです。

一番大切なのは肌を美しく輝かせること。もちろん、シミやしわもない方がいいですが、年齢とともに出るしみは味わい深く、しわも笑い皺であればかえって好感が持てます。実は女性の本当の魅力、美しさは内面からにじみ出るものです。光り輝く肌は自分自身の努力で実現できることなのです。お肌を磨き、自信を持って前を向いて明るく人生を歩んでいきましょう。現在女性の平均寿命は87歳を超えました。これはあくまでも平均寿命ですから、90歳以上まで生きる人が多いでしょう。まだまだ人生これからです。いきいきと明るく楽しい日々を送ってください。

90歳、100歳になっても美しくありたい

女性は何歳になっても美しくありたいと願っています。

私は長年老人ホームで産業医をしていました。入居者の認知症の女性であっても、髪の毛を切ってさっぱりしたり、ボランティアの人がメークをしてあげたり、ネイルを塗ってあげると嬉しそうになって、意識がはっきりとしてくるのをみて、感動することがありました。イケメンの若い男性が介護に入ると、うきうきして楽しそうですが、その彼に入浴の担当をしてもらうのは嫌だというのです。好きなな人にしわしわの身体をみられるのは恥ずかしいという女心です。なんと素敵な気持ちなのでしょう。

老人ホームでは男女がいると必ず恋愛が生まれるといいます。スウェーデンの介護施設を見学に行ったとき、施設長の女性が話していました。
「どんなに歳をとっていても、男女は触れ合って、一緒のベッドで過ごしたいのです。」
と。そして90歳、100歳になっても女性は可愛らしく、美しくありたいと努力をするのです。

お顔がきれいになると心が若返ります。そして気持ちが明るくなります。朗らかになって、おしゃべりをします。するとまわりに人が集まります。おばあちゃんでも、声をかけられることが増えます。ますます気持ちが弾んでたくさん笑います。笑うと免疫力が高まり、健康になるのです。
 顔の美しさを保つことは、健康のために絶対に必要なことなのです。

といっても、今から何をしたらいいのでしょう?こんなにたるんでいてはもう効果がないのではないでしょうか?と聞かれます。
決してそんなことはありません。今からでも充分に挽回できます。諦めないでください。今が一番若いのですから。

健康のために美しくなる方法については詳しくは改めてご紹介致しますが、ポイントを簡単に。

1) 質の高い睡眠を確保する
2) バランスの良い食事とサプリメントを摂る
    (糖質制限、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルなど。)
3) 腸内細菌を整える
4) 運動をする(掃除で運動してもOK)
5) 楽しく過ごす(笑う)

(1)Christensen K et al. Perceived age as clinically useful biomarker of ageing: cohort study. BMJ 10:339 2009
(2)Auregan JC et al. Correlation between skin and bone parameters in women with postmenopausal osteoporosis: A systematic review. Effort Open Rev 89:449-460 2018
(3) Kimata H. Kissing selectively decreases allergen-specific IgE production in atopic patients. J Psychosomatic Res. 60:545-547. 2006.