- 投稿日
- 2018年11月22日
- 更新日
ビタミンCをどれくらい摂ったらよいか?
ビタミンCの適切な摂取量
ビタミンCの1日必要量は15歳以上で85mg、摂取推奨量は100mg(日本人の食事摂取基準、厚生労働省2015年版より)、成人の許容上限摂取量は2000mgと言われています。けれども、この摂取推奨量ではまったくお話にならないほど少なすぎるのです。
ビタミンCの必要量は身体の状況によって移り変わります。たとえば、風邪をひいたとき、細菌やウイルス感染が起きたとき、怪我をしたとき、手術後、タバコを吸ったときなど、体内の活性酸素が大量に増えて、それを打ち消すために血液中のビタミンC濃度はゼロになります。ビタミンC大量摂取の数少ない副作用には下痢(病的なものではないので、下痢というよりも緩い便と言うべきだと言われています)がありますが、そんなときに大量にビタミンCを摂取しても決して緩い便にはなりません。
では毎日どのくらいビタミンCを摂ればよいのでしょうか?
子供 年齢の数(g) 10歳まで
大人 通常時:10g
病気時:50g〜100g
これはアンドリュー・ソウル博士の推奨している量です。子供は10歳までは1日あたり年齢の数のグラム、それ以上は10gとなっています。体内でビタミンCを作り出すことができない私たち人間は、かなり多くの量をとっても必要量に満たないのです。そして必要量には個人差もあります。
試しにビタミンCをたくさん摂り続けて、そして下痢が起きたとき、必要量を摂取できたと判断すると良いでしょう。下痢が起きる一歩手前の量が必要量ですからそれを自分で確認してください。
ただし、繰り返しますが、体調によって必要量は大幅に変わります。感染症、怪我をしたときなど、必要量は一気に上昇します。健康なときと病気になったときでは摂るべき量は変わりますので注意してください。
果物でビタミンCを摂るだけでは足りません
とてもご質問が多いので追記致します。
果物をたくさん摂っているからビタミンCは十分だと思っている方がとても多いのですが、果物では栄養療法でおすすめする量を摂ることは不可能です。
ビタミンCを多く含む果物といえば、レモンです。レモン1個(100g程度の大きいもの)にはビタミンCはおよそ100mgが含まれます。ただし、これは皮も全て、丸ごと食べた場合です。レモンでは、ビタミンCは果汁よりも皮に多く含まれているのです。果汁だけでビタミンC100mg摂るためには、レモンは8個必要となります。
皮を食べられるような無農薬のレモンを手に入れるのはかなり難しいですし、たとえ頑張ってそれを丸ごと食べたとしても、あるいはレモンを8個絞ったとしてもビタミンCはたったの100mgなのです。その10倍摂ってようやく1gになります。
1日の推奨量はソウル博士は大人で10gですから、さらにその10倍が必要になります。
果物を食べているから大丈夫とは言えないことをおわかり頂けるでしょうか?
柑橘類の中で一番ビタミンC含有量が多いのは柚(ゆず)です。ゆずの皮にはとても多くのビタミンCが含まれています。ですが、ゆずは冬限定ですし、やはりそんなにたくさん食べられるわけではありません。
どうしても果物である程度ビタミンCを摂りたい、という方への私のおすすめは、キウイとはっさくです。
キウイ1個にはおよそ50mgのビタミンCが含まれます。キウイを2個食べれば100mgになります。キウイは今では一年中ありますし、皮を剥かずに半分に切ってギザギザスプーンですくって食べるのが一番お手軽です。
また、私が大好きなはっさくも大きい物を1個食べるとビタミンC100mgになります。ただし、こちらは冬場だけのものですので、やはりキウイの方が良いでしょう。
ただ、果物を摂りすぎると、糖質も一緒に摂ってしまうことになりますから、あまりたくさん食べることは避けて下さい。キウイもはっさくもできるだけ酸っぱいものを選ぶようにすると良いと思います。キウイであれば、皮をさわるとがっちりと固いものを選ぶようにしてください。
繰り返しになりますが、果物だけでは絶対に足りません。
ビタミンCはサプリメントで確実に摂りましょう。
私が毎日摂っているビタミンCはこちらのリポCです。
体内に吸収される割合が高く、効率よく血中のビタミンC濃度を上げてくれます。塩のような味がするのですが、酸味はほとんど無いため慣れてしまえばさっと手軽に飲むことができます。
私はこちらを朝晩飲み、さらに合間に1gのビタミンCの錠剤を気がついたときに1錠ずつ、1時間から2時間おきに飲んでいます。ですので、1日量は10g程度になります。
スウェーデンに来てからは、薬局やスーパーで売られているビタミンCのタブレットも利用するようになりました。スウェーデンの人はこういうタブレットを多用しています。ビタミンCだけではなく、他にも多くのビタミン類がタブレットとして売られているのです。
コップ1杯の水にこのタブレットを入れると、炭酸レモン水のようになります。オレンジ味のものもあります。甘味料が入っているのが玉に傷で悩ましいのですが、私はほとんど甘い物を摂取しないので、こちらはよしとすることにしました。
1つにビタミンCが1g入っていますが、甘いので、私はこれにアスコルビン酸の限末を更に追加することもよくあります。仕事の合間に気分転換でお茶やこのビタミンCの水を飲むとすっきり、身も心もリフレッシュできます。
栄養療法専門家のビタミンC摂取量
ライナス・ポーリング博士は1日18g摂っていました。ホッファー博士はちょっと少ないようですが2g、アンドリュー・ソウル博士はポーリング博士に習って18gです。
ちなみに私は1日6g〜10gです。特別なとき、たとえば風邪をひきそうなときなどには30分おきに10gずつのみ続け、50g〜100gくらいとると、すっかり調子がよくなります。そんなにたくさんのむのかとびっくりなさると思いますが、まったく問題ありません。ビタミンCはこの世で一番安全な物質であると考えられています。
飲み方の注意
一度にたくさん飲むのではなく、何回にもわけでください。ビタミンCは水溶性で尿にでてしまいますから、1時間おきくらいに細切れに摂取することが大切です。
ビタミンCを一度にたくさん摂りすぎたらどうなるでしょうか?副作用は?
ビタミンCを摂りすぎても、特に問題はありません。副作用はないのです。
ビタミンCはおそらくすべての薬の中で一番安全なものです。
実は私は3歳の時にビタミンCを大量摂取したことがあります。
当時母の都合で私は2歳年上の姉と一緒に祖母の家に1ヶ月間預けられていたことがありました。その1か月間は本当に自由で、優しい祖父母と何匹もいた犬たちに囲まれとても幸せでした。幼かったにもかかわらず、このときのことは思い出として、心にしっかりと刻まれています。
祖母は健康のためにと”ハイシータケダ”の錠剤を常に飲んでいて、祖母の部屋にはハイシータケダの買い置きが10箱くらいありました。50年も前の話で、ハイシータケダが発売開始となってすぐのことですから、祖母はかなりハイカラな人だったと思います。色白でとても綺麗な人でした。
祖母がそれを飲むときに傍にいると、
「高いのだから一つだけよ」
とたまにお相伴にあずかるハイシーは甘酸っぱくてとても美味しく、私たち姉妹は大好きでした。
ある日、祖母が出かけている間、私と姉は祖母の部屋の奥の棚からハイシーを取ってきてなめ始めました。すると1つではとまらなくなってしまって、1箱すべて平らげてしまったのです。それでもやめられず、次の箱を開けて次々食べ続けました。まるで”和尚様の留守に水飴を全部なめてしまった一休さんと小僧たち”のようでした。
さらに、だんだん調子に乗って来て、傍にいた犬のジョン(シェパード)にまであげてみると大喜びしたので、犬の口にもぽいぽい放り込みました。おそらく1人2、3箱(犬は1箱)くらいは食べたのではないでしょうか。もしかしたらそれ以上だったかもしれません。祖母の買い置きはほとんど無くなってしまっていました。確か1箱30錠入り、1錠1gのビタミンCが入っていたのですから、一気に100g近く(犬は30g)摂取したことになります。
そして、結果はというと、3歳の私にも5歳の姉にも何も起りませんでした。犬も元気いっぱいでした。ジョンは体重20キロくらいだったと思われます。そして、祖母からは怒られるのではないかとびくびくしていましたが、優しかった祖母はあきれていただけで、怒られませんでした。
2011年にハイシーが50周年を迎えたということを知ったときに、あのときの甘酸っぱいいたずらが突如として脳裏に蘇りました。その1年後に祖母は98歳で亡くなってしまったのですが、思い出話を一緒に出来なかったのが残念でなりません。祖母はビタミンCやビオフェルミン、玄米酵素などを日々飲んでいました。最後は老衰でしたが、まったく病気もなく長寿を全うしたのはビタミンCのおかげではないかと思っています。
もう一つ、アンドリュー・ソウル博士の話をご紹介しておきましょう。
博士の5歳のお嬢さんと近所の5歳の男の子が遊んでいたとき、その子のママがあわててやってきて、「うちの子がビタミンCのチュラブルをボトル3分の2のんでしまった!」と言ったそうです。
「なにか症状は?」と聞くと
「ぜんそくが治まった」と答えたとのこと。
つまり、何も副作用はなく、ぜんそくが治ったのですから、とても喜ばしいことだったわけです。
ビタミンCはとても安全なのです。
間違って取りすぎても大丈夫。安心してください。
ビタミンCと薬ののみ合わせ
ビタミンCはほとんどの薬と一緒にのんでも問題ありませんが、一部の薬とは相互作用を持ったり、薬の効果を弱めたりする可能性が指摘されています。
たとえば、ビタミンC、ビタミンE,セレン、βカロチンを併用すると、コレステロール低下薬(スタチン、ナイアシン)の心保護作用が減弱するという結果が報告されています1)。
その後、ビタミンEについては、相互作用が否定されましたが2)、他のものがどのような影響を与えているのかはまだわかっていません。
参考文献
1)Brown BG et al. Simvastatin and niacin, antioxidant vitamins, or the combination for the prevention of coronary disease. N Engl J Med 2001 29;345(22):1583-92
EL, Alaupovic P, Frohlich J, Albers JJ.
2)Singh U et al. High-dose alpha-tocopherol therapy does not affect HDL subfrctions in patients with coronary artery disease on statin therapy. Clin Chem. 2007 53(3):525-8.