- 投稿日
- 2019年5月20日
- 更新日
スウェーデンこぼれ話 スウェーデンの学校と教育 息子の担任の先生からのメール
公立のインターナショナルスクール
13歳の次男はストックホルムで現地のインターナショナルスクールに通っています。
11年前に長女と長男が通っていた学校です。
公立のインターナショナルスクールなので、学費は無料。
おまけにランチも無料です。
とても有難いことです。
研究者のためのアパート(Wenner Gren 財団が所有していて、補助金が出るため市価よりもかなり安く入居できるアパート)の傍にあるため、80カ国くらいの国籍の子供たちが学んでいます。
1年生から9年生までの学校です。
校舎は3階建てですが、真ん中がどーんと吹き抜けの空間になっています。
1階のホールの奥の舞台の壁には学んでいる子ども達の国の国旗が飾られています。
light hall(ライト・ホール)という名前にふさわしく、3階の窓から光が降り注ぐ明るい空間となっています。
ホールでは催し物やミーティングが開かれますが、ふだんは卓球台が3つ置いてあります。
休み時間には、子供たちが集まって来て、大勢でプレーを楽しんでいます。
昼休は曜日毎にクラスに割当の日が決まっているそうですが、ほかの休み時間や放課後は早い者勝ちのようです。
11年前、小4だった長男は毎日卓球をやるために朝早く家を飛び出していました。
次男も最近卓球にはまっているようで、休み時間のたびにクラスメートと楽しんでいるそうです。
のびのびとして素晴らしい環境だと思っています。
この2枚の写真は去年の年度末(6月)の修了式の写真です。
校長先生のお話をみんなで聞いています。
保護者は上の階の廊下に鈴なりになっています。
11年前にはこの式の後にみんなで校庭に出て、色とりどりの風船を空に飛ばしました。
長男と友達の懐かしい写真です。。。
このときには、スウェーデンに来てまだ2ヶ月。長男は英語をほとんど話せない状況でした。
何百もの風船が空に舞い上がっていくのはとても印象的でした。
今ではもうこの風船飛ばしはやらないそうです。
ちょっと残念な気もしましたが、きっと環境保護のためなのでしょう。
次男のクラス
息子は現在7年生。日本でいうところの中1にあたります。
担任の先生はR先生という米国人。なんと以前長女の担任だった先生です。
R先生は自転車で通勤していています。
私と息子が朝一緒に歩いているときに何回か出会いましたが、いつも荷物は無し。
「ハーイ、〇〇(息子の名前)!」
と声をかけ、私たちを追い越して、きこきこ自転車をこいでいく姿はとてもリラックスしていて、日本では考えられないゆるさです。
しかも、息子とほぼ同じ時間に出勤しているのですから。。。
息子いわく、
「R先生はいつも遅刻してくるんだよ」と。
ほかの先生も、男の先生はたいてい遅刻するのだそうです。
そして、先生がお休みのことも多いのです。
R先生は、奥様が去年まで米国の美術の大学に通っていたため、何回か2週間の休暇を取っていました。これは、子供たちの休みに合わせてではなく、授業があるときにです。その間、授業はほかの先生が担当します。
子どものいる先生が子どもの具合が悪くてお休みすることもよくあります。
先週は授業と昼休とホームルームの時間を使って近所の公園にピクニックに出かけたとか。
親はなにも知らされていませんでした。
お昼をはさんでいるので、ランチはサンドウィッチとジュースを学校から持たせてもらったそうです。チーズときゅうりとトマトがはさんである、とても大きなサンドウィッチでした。息子は2個ゲットして、1個持って帰ってきました。
お友達のG君は4個ももらったのだそうです。
子供たちは学校生活をとても楽しんでいます。校内で携帯も自由。ゲームも自由。
勉強の方はどうなのだか。。。。
スウェーデンの学校について、カロリンスカにいるスウェーデン人の学生たちに聞いてみました。
「厳しい学校もあるけれど、7年生ならまだゆるいかも。」
「先生にもよるけれど、そんなに厳しくないよ。」
「塾なんてないし。宿題もそんなにはないし。」
「授業をやめて公園に遊びに行くの?私のときにもあった、あった。」
とのことです。
息子はまず英語が話せない、という問題があるので、勉強の内容というよりも楽しく友達と過ごせればよし、と思ってはいますが、あまりにもゆる過ぎて少し心配になってしまうところもあります。。。
ストックホルムの治安と欠席連絡
欠席連絡は、ストックホルム市のインターネット経由で申告するか、学校の留守電に8時20分までに連絡を入れることになっています。
けれども、欠席連絡をしなくても、学校からは連絡がありません。これは、次男の学校だけかもしれませんが、日本であれば考えられないことです。
ですが、スウェーデンはまずほとんど誘拐とか、事件とかいうものが無いのです。
とても平和です。
もちろん、治安の悪い地域はそれなりにあって、移民が多いところとか、住居費が安い街などでは発砲事件が起ったりすることはあります。
けれども、夜歩いていても私は危険を感じたことはありません。ただ、11年前と比べると物乞いの数が増えているような気がします。
そういえばスウェーデン人がこんなことを話していました。
真夜中、寒いときに歩いていた人が”追い剥ぎ”にあったのだそうです。
マイナス20度なのに、
「持っているものをよこせ!着ているコートを脱げ!」
と言われて、持ち物とコートも取られたのだそう。
MONCLER(モンクレール)のダウンコートだったようです。。。
マイナス20度で、コートも盗られるなんて、寒過ぎで、悲し過ぎます。
「高いコートなんて着て夜遅く一人で歩いていたらだめだよ。」
とのこと。
確かに、モンクレールはマークがとても目立つので、危ないかもしれませんね。
それにしても、追い剥ぎとは。。。びっくりでした。
担任の先生からのメール
さて、息子の学校の話、本題に戻ります。
先週のことですが、担任の先生から保護者に連絡がきました。
保護者各位
クラスで、学期末にグルナルンド(ストックホルム随一のアミューズメントパークです)で楽しく1日過ごしたいと思っています。
学校は本来このようなイベントのために保護者にお金を出してもらうことをお願いすることができません。
けれども、次のような方法でそれをなんとかすること(回避すること)ができます。
皆さんがお子さんのために何か小さい仕事を準備して、お子さんが400クローナ(約5000円)を稼げるようにして頂けませんか?
そうすれば、子供たちは自分たちが稼いだお金で入場料を支払うことができます。
もしこれが不可能である場合にはご連絡ください。
R
なんというユニークなメールでしょう!
息子に聞くと、
「先生はねー、先生たちの分も5%上乗せして払ってもらうって言ってたよ!
冗談だけどね。」
とのこと。
クラスが20人くらいなので、1人5%、20クローナ上乗せすると丁度先生の入場料分、400クローナになるのかなと思いました。
あ、でも担任は、副担任と一緒に2人で付き添うとのことだから、2人分で10%じゃないのかかしら?
などと思いながら私は先生にメールを出しました。
というのも、先生から、
息子が宿題を出していない!
というお叱りのご連絡を頂いていたからです。
R先生
息子と勉強について、話をしました。これから学期末まで心を入れ替えてがんばってくれることを願っています。
グルナルンドについてですが、もちろん、喜んで、息子に400クローナ分のお手伝いをしてもらうことにします。
そして先生の5%も。いえいえ、2人分なら10%ではないですか?
と書いて送りました。
すると、
Dear Michiko,
私たちは、乗り物には乗らないので、入場料は半額です。
R
というユーモアあふれるお返事が返ってきました!
日本では考えられないことです!
息子によると
「先生はねー、僕たちが絶叫マシーンに乗って叫んでるところを下から見て楽しむんだってさ」
と。
この先生からのメールについても、またランチのときにスウェーデン人の大学院生たちに聞いてみました。
すると、
「そういうの、あるある!
学校のイベントのために、お母さんのお手伝いをして、お小遣いをもらっていた。」
そして
「親が仕事を用意してお金をあげるのじゃなくて、私はよくクッキーとかを焼いて、近所のおうちに売りに行っていたわ。」
という人も。
えーーそんなことをするの?
「そう、結構よくあることだから。」
これを聞いて、
あーーー!
と思いました。
私のアパートでは、ときどき可愛らしい訪問者があるのです。
今までに何回か、女の子たちがピンポーンとドアベルを鳴らしてきました。おそらく同じアパートに住んでいる子ども達です。
何やら、お菓子のようなものを持っていて、
「こちら買ってくれませんか?」
と聞くのです。
何も知らなかったので、何だろう?と思いながらも、
「No, thank you!」
と断ってしまっていましたが、
あれはきっと息子のように、学校で必要なお小遣いを稼ぐためのものだったのでしょう。
ついこの間、5月1日のお休みの日にも可愛い女の子が2人で来ました。
知っていれば、買ってあげたのに。。。と残念に思いました。
もし、帰国までにまた来ることがあれば必ず買うことにします。
ハローウィンのときは、ちゃんとお菓子を用意しておいてあげたのですが、
「クッキーを買ってください!」
というのがあるとは知りませんでした。
それにしても、小学校高学年か、中学生くらいの子なのに、
私が
「ごめんなさい、スウェーデン語、話せないの」と、
言うと
(実は、これだけはスウェーデン語で言えるようにしています。私はなぜか外でもよく子どもに話しかけられるので。)
鮮やかにさらっと英語に切り替えて話してきます。
ゆったりとした教育でも実践英語は身についているのですね。。。
というよりも、学校では英語を習っているわけではなく、生活の中で身に着けているのだと思います。
そういえば、こちらに来た時に英語はまったくだめだった息子は、変な英語の言葉ばかりよく覚えて使っている様子。
とっても素敵な学校で1年3ヶ月をのんびり過ごした息子はすっかり別人のようになってしまい、日本に帰ったらもう勉強についていけそうにありません。。。
追記
もし、親が400クローナを払えない場合にはどうするのだろうという疑問が残りました。
そこで、いろいろと聞いてみたところ、
「もし親が払えない場合には、学校がそういうときのためのお金を準備しているはずよ。スウェーデンはすべての子どもに平等に機会を与えることになっているから」
という答えでした。
流石、スウェーデン!