宮川路子の水素栄養療法

主治医が教えてくれない水素・栄養療法の話   うつ、がん、アンチエイジング

ビタミンC治療と石弘光先生

 
一橋大学学長、小泉政権で政府税制調査会会長などを歴任なさった石弘光先生がすい臓がんで今年の8月にお亡くなりになりました。81歳でした。16年6月にがんを宣告され、すでにステージ4bだったそうです。はじめの1年半の間は抗がん剤が効いてお元気に過ごしていらっしゃったようです。2017年に日経新聞に掲載された闘病記を拝読し、がんが小さくなって穏やかに旅行や囲碁、ご友人とのお食事会を楽しみながら過ごしていらっしゃるとのご様子に、すい臓がんでも例外はあるのだ、やはり石先生のような素晴らしい方を神様はお救いになるのだと思っていました。

今年3月に元国立がんセンター総長の垣添忠生氏との対談、がんサバイバーネットワークのビデオを拝見して、真っ白で素敵だった髪の毛がなくなってしまわれているのに心が痛みましたが、先生は、
「自宅が護国寺の傍だからお坊さんがたくさん歩いていて、丁度いいんだ。」
なんてジョークで明るく笑いとばしていらっしゃり、まだまだお元気そうだと安心したのもつかの間、4月にかなりお加減が悪いことを知りました。

父が一橋大学で石先生とご一緒だったこともあり、専門医制度機構の理事を務めていらした先生に私はたまたま代理で出席した会議の場でご挨拶させていただいたことがありました。

人懐こい笑顔で
「宮川先生にこんなお嬢さんがいらしたんだ!」
とおっしゃっていただき、嬉しいような恥ずかしいような気持ちになったのをよく覚えています。ご多忙な先生が長い会議で椅子から崩れ落ちそうになっていらしたのもご愛敬でした。

今年の4月末には先生のご友人を通して私の父にビタミンC療法についてのお問合せを頂きました。
石先生は父のがんからの奇跡の回復をよくご存じでしたし、父の二回目のがん闘病の際、病院までお見舞いに来てくださったご友人に私がビタミンC治療についてお話ししていたからです。

残念ながら私はちょうど4月から大学のサバティカル(研究期間)でスウェーデンに来ていました。私が日本にいれば、先生のご自宅にでも駆けつけてビタミンCの点滴を受けて頂くのにととても残念な思いでしたが、お近くのクリニックをご紹介するだけになってしまいました。

対談のビデオの中で先生がおっしゃっていた
「古傷の腰が傷んだり、膝が痛くなっても骨転移じゃないかとすべてがんと関連付けてしまわれるのが嫌だ。」
というお言葉、本当にその通りだと思います。がん患者さんは皆、常に転移や再発の恐れにおびえながら生活をしているのです。

先生が亡くなった後、佐々木かをりさんのブログで、先生から送られたメールが紹介されていました。

「癌は誠に理不尽です。食事に気を付けようが、健康を自負しようが、メタボでないといっても、全く関係なく、襲いかかってきます。人生を道に例えると、地雷(癌)が埋没されている道をあるいて突然に地雷を踏んだということです。運ですよ。まだまだ現役で活躍中なのですから、気になったら、一度徹底的に専門医に診断してもらうことです。今後、安心して仕事に専念できますよ。老婆心ながら。」

がんと闘う中で、人を思いやる心をお持ちの石先生のお人柄に胸が熱くなりました。対談では、達観しているから、とおっしゃっていましたが、どんなに悔しいお気持ちだったことでしょう。

がんは明晰な頭脳を残して肉体を滅ぼすのです。

本当に健康に気を付けていてもがんにかかってしまう人がなんと多いことでしょう。私のまわりにもたくさんそういう人がいます。がんの予防のためには、生活習慣の改善だけでなく、もっと踏み込んだ対策、栄養療法が必要だと私は考えています。

私はこのような人を一人でも少なくするために栄養療法を広めていきたいと願っています。